ハイウェイ40号線上の女

ノースキャロライナを東西に走る40号線を毎日行ったり来たりしてる中年女は何を考える? 

私の年間ベストアルバム 1978年 the Kick Inside 思春期の妄想

今の世代はアルバムなんて買わないらしいですね。 好きなシングルのみダウンロードする、もしくはストリーミングで聴いているだけ。 いけませんね~、

とは言え、最近の私も似たようなもの。 一年に2,3枚しかCDを買っていない。 それほど欲しいCDが無いのと、モノが増えるのがイヤなのが主な理由。 それにiPodにすでに大好きな曲が5000曲ほど入っていてるし、それをシャッフルして聴いてれば満足で、たとえ世界に新しい曲が生産されなくなってしまったとしても、これで十分一生楽しめると思う。

 しかし、お小遣いをはたいて、2500円のレコードアルバムを買ってきて、家で針を落とす瞬間は素晴らしかった。  アルバム一枚を何度も何度も繰り返し聞いていたあの時代を思い出しながら、年ごとの私のベストアルバムを綴っていこうと思う。 

 

リアルタイムで洋楽のアルバムを買い始めた1978年から始めます!

1978年のベストは迷うことなくケイト・ブッシュのデビューアルバム「キック・インサイド」。

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レコード針を落とすと聴こえてくるクジラの鳴き声、そしてケイトの人間離れした甲高い声、一気にケイトワールドに突入する。 あの頃、全身で浸って聴いていたわ。

 

一番好きだったのは「L'amour looks something like you」

なんか先月この曲について私書いてたな…↓

sycob.hatenablog.com

 

それから「the Man with the child in his eyes」」(少年の瞳を持ったあなた)も大好きだったなぁ...。

今日一日のことを考えながら
眠りに着く前に、あの人の声が聞こえる
灯りを消して横たわると
あの人がここにいるのに気づく

誰も私のあの人のことを知らない
水平線の彼方に消えたと信じてる
そして突然
知らなかったあの人の声を聞いている自分がいる

海の話を聞かせて
あなたの愛の全てを、永遠に
あぁ、また彼が来る
少年の瞳を持ったあなた
あぁ、また彼が来る
少年の瞳を持ったあなた

あの人はとてもやさしくて
私の置かれた状況を解ってくれる
そして私が遅くまで起きていると
いつも待ってくれるけれど、
あの人の躊躇いを感じてしまう。

あぁ、私は愛にとても不安を感じる
いつまでも続かない、と人は言う
そして私はまた思う
いったいここで自分は何をしているのだろうと。
たぶん彼は私を愛してないのかも
私はただ愛という旅をしてただけなのかも

あぁ、また彼が来る
少年の瞳を持ったあなた
あぁ、また彼が来る
少年の瞳を持ったあなた

(Syco 訳)

彼の私の置かれた状況を知っているって、どんな状況よ~? きっと彼女は貴族の令嬢で、男は使用人なのかもしれない…、私の妄想は膨らんだわ~。 

 

このアルバムのタイトル名の曲 the Kick Insideは胎児が子宮を内側から蹴るという意味。 実はこの曲、兄の子供を妊娠してしまった妹が兄に殺されるという、イギリスの19世紀のバラードもとになっているらしい。  デビューシングル「嵐が丘」はもちろんエミリー・ブロンテの小説からだし、文学少女ケイトは古典文学を読んで妄想を膨らましていたのね。 

これらの曲は彼女が13歳ぐらいから書いてたものだという。 彼女はけっこう良いところのお嬢様で、田園地方のお屋敷に住んでいたらしいし、実体験をもとにしているとは思えない。 つまり思春期の妄想が生み出したアルバムなんだ。 だから、中学生の私にも響いたのね。 

今聴いても、ノスタルジックにひたれる。 あのころ妄想していたイギリスに住む自分、アーサーラッカムの描くようなケンジントン公園を散歩して、ブライアン・フロイドの妖精が住む森をさまよったり、…そう、中二病真っ只中でこのアルバムを聴いていたんだな、私。 妄想においては、もしかして私のほうがケイトよりも上かも。 でもその妄想は何も生み出さなかったけど。 そこが凡才と天才ケイトとの違いね。