私の年間ベストアルバム 1986年 the Queen is Dead  ネガティブな安らぎ

f:id:sycoB:20190301052945j:plain


1986年は仕事を辞めて2度目の渡英をした年。 

イギリス中部のバーミンガム周辺の町に4か月ほど暮らした。 外国人のための英語の学校に少し通ったけど、それよりも私はライブに行く方が一生懸命だった。 その間に見たバンドは

the Waterboys, the The, the Fine Young Cannibals, Doctor and the Medics, James, Half Man Half Biscuit, Jonathan Richman, Ramones, Big Audio Dynamite, INXS, the Pogues, 

まだあったかも…。 ほんとに気合い入れてライブに通ってたわ。

そしてお金が尽きて帰ってきて、実家で無職となる。 夢のようなライブ三昧の毎日から、日本の田舎の蒸し暑い夏で、しかも職探しだよ。  技術も資格も無し、高卒、田舎…、 特に何かに秀でているわけでもなく、目指すものもない、ただ音楽が好きなだけの私。  

でも音楽がこんだけ好きなのは、実生活がクソだから。 もし毎日が充実してたら、これほど、音楽を聴かないかもしれない。 私が洋楽に嵌る前は、普通に友達と楽しい生活を送っていたような気もする。 友達が「たのきんトリオ」なんかに流れていったとき、私はボウイーだった、パンクだった、金八先生なんて見たこともなかった。 その辺から、どんどん外れていったのよね。 もう戻れない。

私がイギリスから帰る直前にこのスミスの3枚目アルバムがリリースされ、話題になっていたので買ってきた。 それまでスミスはお経みたいで、聞いてなかったんだけど、3枚目にして、メロディラインがグーンときれいになったと思う。 それで、それまで気に留めてなかった歌詞にも嵌っていったわ。  果てしなくネガティブなモリッシーの詩は尽きることがない。 

あぁ、お母さん、僕の頭が土に被されていくのがわかるんです。(Oh Mother, I can feel the soil falling over my head) 」 -It's over”より

孤独だと、人生はとてつもなく長い」 Life is very long, when you're lonely)」 ‐the Queen is Deadより

ぼくは絶対絶対一生一人ぼっちだろう。 絶対にひとりぼっち(And I never, never had no one ever. I never had no one ever)」 ‐Never had no one everより

そして極めつけが"There is a light that never goes out"

2階建てバスが
僕らに追突して
君の隣で死ねたら
僕は至福の境地
10トン・トラックが、
僕らを轢いて
君の隣で死ねたら
喜びと名誉は独り占め <Syco訳>

 しかし、ここまで堂々と醜態をさらけ出すことができるモリッシーは、逆に神々しく感じるのよ。 

 一番好きなのは「墓場の入り口」でした。 恐ろしく晴れた日に墓場でデートしよう、墓石の名前を読んで、涙を流そう、って歌うのよ。 こういうのにロマンティックを感じてた。  悲観的になることで、安らぎを感じていたんだよね。 

怖いほど晴れた日に
君と墓地の入り口で会う
キーツとイェーツは君の側

怖いほど晴れた日に
君と墓地の入り口で会う
キーツとイェーツは君の側
でもワイルドは僕の側

それで僕らは門をくぐって、墓石の名前を読む
そこに記された、たくさんの人、たくさんの命
今はみんなどこにいるのか?
僕と同じような
愛や憎しみや情熱とともに
生まれて、生きて
そして死んでいった
なんかとっても不当な気がして
泣きたくなった

Cemetry Gates より <Syco訳>

 

youtu.be