私の年間ベストアルバム 1989年 Doolittle  狂気と芸術とキム・ディール  

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この年はアメリカから、再びバックパッカーをしにヨーロッパに行ってフラフラして、アメリカに戻ったら、入国審査で捕まって日本に帰れと言われ、日本に戻って学生ビザを取り、再びアメリカでシティ・カレッジに入れてもらった。 

結局アメリカに落ち着いたのは、アメリカの友達がスポンサーになってくれたから。 なんだかんだ言っても、アメリカという国は寛大だった。 少なくともあの当時はね。 今はアホなメガロマニアが司っているから、残念な国になってるけど。

あの当時、自分がこの先何をしたいとか、夢とか抱いていなかった。 ただ日本だけには居たくないって思ってた。 日本に居場所が無かったのよ、哀れな私。 かと言ってアメリカが居心地が良かったわけじゃないけど、取り合えず大学という場が与えられ、勉強すれば何かになれるような気がして一生懸命勉強したよ。 でも結局今でも何者にもなれていないけどね。

アメリカのインディーロックをかけるカレッジラジオ局から当時よく流れていたのは、ピクシーズ、ソニック・ユース、レッド・ホット・チリペッパーズ、ダイナソーJr、ジェーンズ・アディクションなど。 今まで、ブリテンかぶれだった私も、次第にアメリカのインディもやるじゃん、って思うようになったわ。 英国はメロディで勝負って感じだけど、アメリカはソウルで勝負しているの。 この辺から、英国は軽率でパリピなマッドチェスター・ムーブメントに行き、アメリカは暗くて重いグランジに向かうのね。 あ、私はどちらも好きよ。 

このピクシーズのアルバム、Doolittleはソウルフルとメロディアスのどちらも兼ね備えてると思う。 アメリカよりもイギリスで先にチャートに上ったのも納得できる。 混沌したブラック・フランシスの歌詞と歌声、そしてそこにベーシストのキム・ディールのローファイな歌声が溶け込むのが溜まらなく好きだったね。 私はソニック・ユースのキムよりも断然ピクシーズのキムの方がカッコええぇって思ったわ。 

アルバムDoolittleの中で、どれが一番好きと聞かれたら、かなり迷う。 冒頭からキムのベースで始まり ♪目玉をスライス、アッハッハッハ♪♪ と笑う"Debaser"、♪人間は5、悪魔は6、神は7 ♪と叫ぶ”This Monkey Goes to Heaven" などなど狂気か芸術かを問うような名曲で溢れている。 

でも”Hey”が一番かな。 これを聴くととても癒されるの。

Hey / Pixies

おい、
お前に会おうと頑張っていたんだが
おい、
悪魔が俺たちの間に立ちはだかってるみたいなんだ
それとも俺の頭の中に娼婦がいるのか
娼婦がドアの前に立ってるのか
娼婦が俺の布団の中にいるのか
でも おい、
お前はどこに居たんだい?
お前が去るなら、俺は絶対死んじまう

俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる

「ウッ」と男がレディに言う
「ウッ」とレディが愛するその男に言う
そして娼婦達が「ウッ」を
一晩中合唱する
マリア、それが嫌にならないかい?
ウッ


母親が
子供を産むときの呻き声
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる

 

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ボーカルのフランシスはリュックとか担いでいたら、秋葉原に居そうな外人さん💛