この年はアメリカから、再びバックパッカーをしにヨーロッパに行ってフラフラして、アメリカに戻ったら、入国審査で捕まって日本に帰れと言われ、日本に戻って学生ビザを取り、再びアメリカでシティ・カレッジに入れてもらった。
結局アメリカに落ち着いたのは、アメリカの友達がスポンサーになってくれたから。 なんだかんだ言っても、アメリカという国は寛大だった。 少なくともあの当時はね。 今はアホなメガロマニアが司っているから、残念な国になってるけど。
あの当時、自分がこの先何をしたいとか、夢とか抱いていなかった。 ただ日本だけには居たくないって思ってた。 日本に居場所が無かったのよ、哀れな私。 かと言ってアメリカが居心地が良かったわけじゃないけど、取り合えず大学という場が与えられ、勉強すれば何かになれるような気がして一生懸命勉強したよ。 でも結局今でも何者にもなれていないけどね。
アメリカのインディーロックをかけるカレッジラジオ局から当時よく流れていたのは、ピクシーズ、ソニック・ユース、レッド・ホット・チリペッパーズ、ダイナソーJr、ジェーンズ・アディクションなど。 今まで、ブリテンかぶれだった私も、次第にアメリカのインディもやるじゃん、って思うようになったわ。 英国はメロディで勝負って感じだけど、アメリカはソウルで勝負しているの。 この辺から、英国は軽率でパリピなマッドチェスター・ムーブメントに行き、アメリカは暗くて重いグランジに向かうのね。 あ、私はどちらも好きよ。
このピクシーズのアルバム、Doolittleはソウルフルとメロディアスのどちらも兼ね備えてると思う。 アメリカよりもイギリスで先にチャートに上ったのも納得できる。 混沌したブラック・フランシスの歌詞と歌声、そしてそこにベーシストのキム・ディールのローファイな歌声が溶け込むのが溜まらなく好きだったね。 私はソニック・ユースのキムよりも断然ピクシーズのキムの方がカッコええぇって思ったわ。
アルバムDoolittleの中で、どれが一番好きと聞かれたら、かなり迷う。 冒頭からキムのベースで始まり ♪目玉をスライス、アッハッハッハ♪♪ と笑う"Debaser"、♪人間は5、悪魔は6、神は7 ♪と叫ぶ”This Monkey Goes to Heaven" などなど狂気か芸術かを問うような名曲で溢れている。
でも”Hey”が一番かな。 これを聴くととても癒されるの。
Hey / Pixies
おい、
お前に会おうと頑張っていたんだが
おい、
悪魔が俺たちの間に立ちはだかってるみたいなんだ
それとも俺の頭の中に娼婦がいるのか
娼婦がドアの前に立ってるのか
娼婦が俺の布団の中にいるのか
でも おい、
お前はどこに居たんだい?
お前が去るなら、俺は絶対死んじまう
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
「ウッ」と男がレディに言う
「ウッ」とレディが愛するその男に言う
そして娼婦達が「ウッ」を
一晩中合唱する
マリア、それが嫌にならないかい?
ウッ
と
は
母親が
子供を産むときの呻き声
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
俺らは鎖につながれてる
ボーカルのフランシスはリュックとか担いでいたら、秋葉原に居そうな外人さん💛