死ぬまでに読みたいと思っている本を気を入れて読んでいかないと、本当に読まないまま死んでしまうぞ。 中年女、焦ってます...。
さっそく新年から読み始めたギュンター・グラスの「ブリキの太鼓」の英語版は全460ページ。 日本語版は文庫で3巻まであるらしい。 読み初めは七面倒くさい単語をやたら使っているな、って感じたんだけど、それが気にならなくなるほど面白かったわ~。
40年ほど前に映画化された作品は劇場で見た覚えがある。 馬の頭蓋骨からウナギがにょろにょろ出てきたり、粉ジュースに唾を落としてシュワシュワさせるシーンが超キモかったのを覚えてる。 これらのシーンからもわかると思うけど、とにかく変な話なのよ。
オスカーという少年は3歳でブリキの太鼓をもらって、その時自分で成長するのをやめようと決心する。 そしてその成長するのをやめた小人の目で、第二次世界大戦の混乱を傍観した記録だ。
本を読んでわかったのは、映画はこの小説の3分の2ぐらいのところで終わっていたこと。 そのあとも、マジックリアリズムというのか、ブラックユーモアなのか、奇妙なエピソードが満載。
主人公のオスカーは小人で、太鼓をたたいて甲高い声を出して窓ガラスを割ることが出来る不思議なキャラなんだけれど、このオスカーよりも周りの人々の方の奇行が面白かったりする。 オスカーは語り部手であくまでも傍観者なのだ。 いつまでも外見は子供という利点を活かして、彼の町ダンツィヒを路面電車に乗って駆け巡る。 ナチスが支配するポーランドを背景に、実はたくさん人が死んだり殺されたりしてるのに、オスカーに語らせると、冷たい笑いに変わる。
何か深いテーマがあるのかもしれないけど、私は単純に次から次へと出てくる登場人物と、面白エピソードを堪能しましたよ。
映画のオスカー、全然可愛くない…。
そういえば、ジャパンの「ブリキの太鼓」というアルバムがあったね。 デビッド・シルビアン曰く、ギュンターの小説から取ったそうだ。 でもアルバムジャケットはアジア人ならツッコミどころ満載の、西洋人が作り出したアジアのイメージショットで、全然この小説とは関係がなさそう。 アルバムの収録曲もアジアンコンセプトです。 結構好きだった。
どんぶり飯の前にある本が「ブリキの太鼓」かな、シルビアン先生?