ボウイで3曲選ぶなら

ボウイーをリアルタイムで聞き始めたのは「ロジャー」から。 中三の時だった。

sycob.hatenablog.com

次の「スケアリー・モンスター」を発売と同時に買って、あの奇妙なボウイワールドにどっぷりハマった。 それなのに、次の「レッツ・ダンス」「トゥナイト」 のポップな路線にがっかりした。 更に「ネバ―・レット・ミー・ダウン」では怒りを感じ、それからボウイーを追わなくなった。

最近Youtubeでボウイのインタビューを見た中で、ボウイは『トゥナイト』と『ネバ―・レット・ミー・ダウン』の2枚だけは自分じゃないアルバムだったと白状してる。当時ツアーに出て、「なんでフィル・コリンズのファンが、俺のステージを見に来てるんだ? ってふと思ったんだ。 いや待てよ、今の自分はフィル・コリンズと同じことをしてるではないか、大衆を喜ばすだけの音楽を自分はやっていたんだ」、でもすぐ、「別にフィル・コリンズを悪く言ってるわけじゃないよ、誤解しないでね」ってフォローも入れていた。 そのあと、メインストリームを脱出するけど、どんどんエレクトロに傾いて行って、それもあんまり好きなれなかった。 そして、ラストアルバムは悲しすぎて聴くことができない…。

でも1967年のデビューアルバムから1980年の「スケアリー・モンスター」まで14枚もボウイの素晴らしいアルバムがある。 これだけあれば十分じゃない?

あぁ、しかし、3曲選ぶのは難しすぎる。 フォーク時代、グラムロック時代、イーノとコラボ時代、それぞれ違った良さがあるから比べられませーん!

それじゃあ、iPodに、ボウイの曲を3曲しか残せなくて後は全部削除しろと言われたらどうする? 削除した曲はもう聴けないとしたら?

 

真っ先に選ぶのは ”Conversation Piece" だ。 何度聞いても涙が出そうになる、繊細で美しい曲。 私の一番好きな曲。

Conversation Piece (1970)

気持ちを安らげるために散歩をした
僕の心をすり減らしているのは何かを見つけるために
自分を顧みないために
僕は長い間学問に従事してきたけど、
全てはるか昔のことのように思える
僕は思想家で、演説家ではないし、
どちらにしろ、話し相手もいない

雨が目に入って、
道が見えない
Ahhh ...

オーストリア人が経営する
食料品店の二階を借りて住んでいる 
彼はよく下でご飯を食べないかと誘ってくれる
そして片言の英語で冗談を言う
僕と友達になろうとして。
でも話を聞いていたこの長い間
僕は一言も話さないでいた

雨が目に入って
橋が見えない
Ahhh...

そしてこの世界は生命力で溢れ
僕を知らない人々でいっぱいだ
みんな二人か三人か、もっと大勢で歩く
それで店の二階の窓の明かりが点くと、 
僕の顔を遠慮なく覗き込む
そして僕の小論は床に散らばる
そこに居るだけで 彼らの欲求を叶える
それから僕の手は震え、頭が痛み出す
のどの奥が詰まって声が出ない
僕は存在価値も無くで愚かだ
そして誰も僕を思い出しはしない

涙が溢れて
川が見えない

<syco訳>

 

<youtu.be

 

そして”Quicksand"かな。 これを聞きながら、静かに沈んでいきたい。

Quicksand (1971)

僕はゴールデンドーンに接近し
空想上のクロウリーの制服に身を包む。
無声映画の中に生き、
ヒムラーの神聖なる王国を演じる
それは夢の中での実感
完全な終結に震え
いびつな穴に引き込まれる
そしてもうこれ以上力がない。
もうこれ以上力がない。


僕はガルボの瞳のような歪んだ名前を持ち
チャーチルの嘘の生き証人である。 
僕は宿命
周りは神授の調和としてゴールを定めているのに
僕は光と闇の間に引き裂かれる
毒蛇の牙にキスをするべきか
それとも人類の絶滅を声高に予言するか
自分の思想の流砂の中に沈んでいく
そして僕にはもう力がない

自分を疑え、信じることで惑わされるな
死に解き放たれることによって
知識はやってくる
Aah-aah, aah-aah, aah-aah, aah-aah


僕は預言者でも古代人でもない
ただの死ぬべき運命のスーパーマンもどき
生き続けるだけ
ホモサピエンスのロジックに繋がれ
偉大な救済から目をそむけることができない
嘘ばかりの信仰なのに

僕が何も説明していないというなら
君が次に来る中陰のことを詳しく教えてくれるのだろう
自分の思想の流砂の中に沈んでいく
そして僕にはもう力がない

自分を疑え、信じることで惑わされるな
死に解き放たれることによって
知識はやってくる
Aah-aah, aah-aah, aah-aah, aah-aah
---

<syco訳>

youtu.be

 

あと一曲は、うーん、”Rock'n'Roll Suicide" いつもボウイーが傍にいるみたいに感じられるから。

Rock 'n' Roll Suicide (1972)

時は煙草を消費する もう一本口にくわえさせる
指をくわえ、また別の指をくわえ、そしてまた煙草
会場全体が君を呼び、その声はなかなか静まらない そのうち君は忘れる
Ohhh 君はロックンロールの自殺者

失うには年を取り過ぎて、選ぶには若すぎて
そして時計は君の歌の中で、辛抱強く止まっている
カフェを通り過ぎるけど、長く生き過ぎている君は食も取らない
君はロックンロールの自殺者

道路をつまづきながら横切るとシボレーのブレーキが唸り声を上げる
しかし夜も明けるので家路へと急ぐ君
日の光に君の影を破壊させるな
牛乳配達車に気を取られるな
それはとてもナチュラルで、宗教的とも言えるほど不親切だ

愛する人! 君はひとりじゃない
自分ばかりを見てるけど、正しい判断は難しすぎる
脳みそがぐちゃぐちゃに絡んでしまってるけど、ただ君に気づいてもらえたら
愛する人! 君はひとりじゃない
何だってかまわない、君が過去にどんな奴だったかだってかまわない
何時だってかまわない、 君が過去に何処にいたかだってかまわない。
ありとあらゆるナイフが君の脳みそを切り裂く
僕は分け前をもらったから、君の痛みを癒してあげたい
君はひとりじゃない

振り向いてほしい 君はひとりじゃない
振り向いてほしい。 君はひとりじゃない
振り向いて、そして孤独から抜け出して
手を取らせて だって君は素晴らしいのだから
手を取らせて だって君は素晴らしいのだから
手を取らせて

<syco訳> 

youtu.

この3曲を持って、三途の川も渡りたい。