火星の生活? 

ノースキャロライナからユタまで車で往復してきて思ったこと。

荒野は厳しい!

テキサスあたりから唇が渇きだし、ニューメキシコ、アリゾナ、ユタにいる間、ずっと私の荒れた唇に血が滲んでいた。 

ユタでは国立公園やその周辺で、日中36度にも上がる中、木陰もない岩山をふらふらしながら登る私。 日焼け止めを塗ったのに、腕はガサガサで焦げ焦げ。

ノースキャロライナの山なら、水筒一本も全部飲みきれないんだけど、ここじゃ残りの量を気にしながら、ぬるま湯化した水をチビチビと飲み、いつ熱中症で倒れてもおかしくないな、頭上にハゲタカが舞ってないか、などと考えながら歩く。

何のために私はこんな修行をしているのか、それは…

こんな絶景を見るため。

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今までに見たことのない景色。 地形はトルコのカッパドキアに似てるなって思ったけど、スケールがカッパドキアの数十倍デカいし、トルコはその周辺に集落があったけど、ユタはほんと何もないの!

頭の中には、デビッド・ボウイーの「火星の生活」が流れてました。

 

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と同時にボウイーの「地球に落ちてきた男」という映画も思い出した。  宇宙人のボウイが地球に着陸した風景はこんなところだったな。 ネットでロケ地を調べてみたら、ニューメキシコだった。 ニューメキシコもナバホ族の保留地を通ったときは果てしない荒野だったわ。

 

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アメリカ南西部の砂と岩の砂漠は、いくら車で走っても終わらなくて、特にユタを70号線で横切っている時は、何時間も町も人も木も牧場すらも何にもなくて、ただただ赤い岩山が続くだけ。 

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天国でも地獄でもない、何もない死後の世界にいるような気がしてくる。

 

Life On Mars? / David Bowie (1971)

それは小さな出来事だったけど
冴えない茶色の髪の少女にとっては惨事だった
母親には「ダメ」と怒鳴なられ
父親には出ていけと言われた

友達はどこにも見当たらず
少女は消沈して歩き回る
映画館の中の良く見える席に座り
銀幕をぼんやり見つめる

でもその映画は悲しくなるほど退屈
なぜなら少女は10回以上見たから 
コメディアンがよく見ろよ、と言うなら
彼女はその顔に唾を吐き掛けてもよかった

ダンスホールで殴り合いをする船乗り
やれやれ! あの原始人が去るの見なよ
ほんとにヘンテコな見世物だ
あの保安官を見てみなよ
まちがった相手を殴っている
やれやれ! いつそれに気づくのか
一番人気の映画だってね
火星に生命体は居るのかな?

それは苦悩するアメリカ
ミッキーマウスが大人の牛を飼っているし
労働者は名を売るためにストライキに入った
レノンがまた売りに出されたから
あのネズミの大群を見なよ
イビザ島からノーフォークの川を伝って来る
ママや犬や道化にとっては
統治せよ、ブリタニア、なんて通用しない

でもその映画は悲しいほど退屈
だってもう10回以上も見たから
集中しろと言われるのは
もうほとんど命令に近い

ダンスホールで殴り合いをする船乗り達
やれやれ! あの原始人が去るの見なよ
ほんとにヘンテコな見世物だ
あの保安官を見てみなよ
まちがった相手を殴っている
やれやれ! いつそれに気づくのか
一番人気の映画だってね
火星に生命体は居るのかな?

<syco訳> 

**日本版のアルバムに付けられている「火星の生活?」という邦題はもちろん間違い。 Lifeは「生命体」と訳すのが正解です。

たぶんこの少女はB級映画の3本立てみたいなのが上映されている映画館に入って、コメディやら、原始人や火星人が出てくる映画やらを見てたんだと思う。 まぁ、ボウイーの歌詞は概念的だから、受け取り方は自由ね。

 

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ユタのキャンプ場で砂の嵐が起こり、テントが吹き飛ばされそうになった…。 しっかり押さえたけれど、メッシュの隙間から砂がバラバラと入り込み、たちまち床に積もった。結局その夜は車の中で寝ました。