飲まずにはいられない ② ジン編

酒を一切やめれば、多分私の寿命はもう少し長くなるんじゃないかとも思う。 私の父は71歳で亡くなって、アル中だった。 でもさ、毎日毎日、少しでも気分よく過ごせたらいいなって思うのよ。 でも仕事は詰まんないし疲れるしで、せめて、映画見たり、本を読んだり、ギターやピアノを弾いたり、歌ったり踊ったりして、独りでも楽しい気分になろうと努力してるのよ。 そこに少しアルコールが入って、軽くなって眠りにつければ、別に長生きなんてしなくてもいいって思うのよ。  

ドラッグに溺れるアーチストもたくさんいるけれど、アルコール中毒もたくさんいる。 ボウイの死因は肝臓癌だったし、ジミ・ヘンドリックスもジム・モリソンも直接の死因はODだけど、二人ともアル中で薬と一緒に相当酒も入っていたみたいだし。

ジュリアン・カサブランカス(ストロークス)のインタビューを読んでいたら、彼は随分若いころからアルコール依存症を患っていたらしく、朝から飲んで、一日にウォッカ一瓶は空けていたという。 結婚して子供が出来て、自分でこれではダメだと思い、リハビリにも通わないで酒は止めたって。 ストロークスのアルバムをシラフの状態、全部作り直したいって言っていた。 その情報を頭に置いてストロークスを聴くと、確かにカサブランカスのボーカルは、酔っ払いのソレだ。 "15minutes" なんて、ポーグスのシェイン・マガウアンが歌っていると言われても信じるかも。でもシラフで作り直したストロークを聞きたいかなぁというと、それも疑問だ。 

酒やたばこやドラッグの毒物を体に入れながら、ギリギリの状態で毎日毎日を生きて、私たちにロケンロールを提供してくれるアーチストに私はいつも感謝してる。 私のように何の才能もないのに、ストレス溜まる~っとか言って、酒を喰ってすみません、とも思う。

 

私が一番好きなお酒はジンだから、ジンを歌った曲を三つ。 まずは禁酒法時代のベッツィーの歌から。

 

Me and My Gin / Bessie Smith (1928)

近づかないで、だって私は罪深い女だから
近づかないで、だって私は罪深い女だから
もしここが奇襲されたら、それは私と私のジンのせいね

私にかかってこないで、だって誰も勝てやしないから
私にかかってこないで、だって誰も勝てやしないから
陸軍でも、海軍相手でも戦うわ ジンと一緒にね

酒の密売人はだれでも私の友達
酒の密売人はだれでも私の友達
だって馴染みのジンのボトルをいつも運んでくれるから

気分が良くなったら、なんにもしない
気分が良くなったら、なんにもしない
たんと酒を飲ませてくれれば、私はもちろん優しいのよ

衣装もいらない、布団もいらない
衣装もいらない、布団もいらない
ポークチョップもいらない そのかわりただジンをちょうだい

<syco訳>

 

youtu.be

 

コールド・ワー・キッズのダメなお父さんの歌

 

We used to vacation / Cold War Kids (2006)

正午に子供たちにキスをして
よろけながら部屋から出た
タクシーを捕まえ、料金を付けにしてもらい
7番街とフラワー通りの角で降りる

大事な発表会だ、急がなくては
息子の卒業式は行き逃してしまった
ニッケル家の小僧が俺の息子の席に座ってたので
一発お見舞いしてやる
あいつは俺に怒り狂う

でももっと悪い事だって起こり得たと思う
夜のニュースで流れる自然災害とか
もっと悪いことだって起こり得たと思う
でも俺たちはまだ健康だし
毎月給料も入ってくる

妻と子供に誓った
生きてる限り絶対にもう
酒には手を出さないと
言葉自体は心を落ち着かせるが
多分時間と共に消えていくだろう
時間と共に全て消えていくだろう

おれは全うな人間だ
自分と家族のために稼ぐし
税金控除のチャリティに
寄付だってする

2週間の有給休暇を取っても
ダメージが回復できない
もう一週間必要だ

でももっと悪い事だって起こり得たと思う
夜のニュースで流れる自然災害とか
もっと悪いことだって起こり得たと思う
でも俺たちはまだ健康保険もあるし
毎月給料も入ってくる

妻と子供に誓った
生きてる限り絶対にもう
酒には手を出さないと
でもジンを混ぜると心が落ち着いて
忘却の中に沈んていく

妻と子供に誓った
あの事故でみんなの心を傷つけた
でもグループカウンセリングでの俺の気持ちは空っぽ
時間と共に全て消えていくだろう
時間と共に全て消えていくだろう


Mm la da da da da ah da da da da ah oh
Ah la da da da la da da da da ah la da da da ooh

<syco訳>

 

youtu.be

 

最後はマグネティック・フィールズのラブソング。 愛とは、ジンのようなものだって...。

Love is Like a Bottle of Gin / the Magnetic Fields (1999)

それはあなたを盲目にする それはあなたを殺す
それは自分がタフであると勘違いさせ
罪を犯したい気持ちにさせる
それは思ってもいないことを言わせる

それはとても小さくてガラスで出来ている
そしてそれは誇大に宣伝され
天才を最低な奴に変え
愚か者を賢者だと思い込ませる

それは生まれて来たことを後悔させ
もしくは一張羅を着て側転をさせる
実際の価値より値段がバカ高いのだが
それに代わりになるものが存在しない

棚の高いところに保存され
古くなりより純度が高くなる
それ自体色は付いてないが
あなたに七色の虹を見せてくれる

バワリー街で見つかるし
イレーンの店でも見つかる
それはあなたの言葉に花を咲かせ
太陽を輝かせ、雨を降らせる

あなたは落とし穴からかろうじて抜け出すのに
落とし穴は尽きることが無い
愛とは一瓶のジンのようなもの
でも一瓶のジンは愛とは違う

<syco訳>

 

youtu.be

 

オーストリアの精神科医のグループの研究によると、ジン好きはサイコパスの傾向が強いことが判明したらしい。 その他、ブラックチョコレート、ブラックコーヒーなどの苦いもの好きはその傾向があり、サディスティックな性格を持つという。 ヤバっ、私の好きな物ばかりだ。 

 

オマケ4コマ アメリカのスーパーのレジで

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