この前の年のストロークスの登場でガレージパンクに再び火が付き、その翌年にはブリテンからリバティーンズが現れた。 その頃、ママ友と姑しか付き合いがなかった専業主婦だったけど、私は密かにロケンロール魂の灯を心に燃やし続けていたんだよ。
リバティーンズのこのデビューアルバムは、クラッシュのギタリスト、ミックジョーンズによるプロデュースと聞いただけで、もう胸がキュンキュンする元祖パンク世代の私たち。 ガレージパンク・リバイバルがアメリカのストロークスに先手を取られちゃって、いやいや、パンクといえばブリテンっしょ、と対抗意識満々で作られたという印象を私は受けた。 でも英国アクセントで歌っているだけで評価を高くしてしまう、けっこう薄っぺらな私は、こういうの待ってたんだよ。
ピート・ドハーティは大学の英文学専攻しただけあって、吟遊詩人的なリリックも魅力。 しかし、このあとこの後ドラッグで下り坂を転がるのよね。 ドハーティのWiKiを読むと、ドラッグ、刑務所、リハビリを幾度となく繰り返していることか。 インタビューでは、2019年からドラッグはやっていないと言ってた。 つい3年前までやっていたってことね。 ミレニアムにセックス&ドラックス&ロケンロールをあんなにわかりやすく体現してくれるのも彼しか居ない。 本人にとっては災難でしかないんだけど、こういう人物が時々現れないと、ロケンロールの危うさを忘れてしまいそうで。
私の一番好きなのはアルバム冒頭のこれ。
Vertigo
カリーマは確信犯だ
注目を集めるのは難しいことじゃない
ずっと下の路上から
預言者が酔って歌っているのが聞こえる
「お前が何を考えてるかわかるぜ、小僧
俺は何でもお見通しだ」
”**鉛のパイプ、君は財産を成した”
俺のアドバイスをちょっと聞いときな
あの子の窓の敷居まで登るがいい
さもなきゃ一生そこに居ろ
非常階段の下を歩いていると
周りの奴らが「お願いだ」と叫ぶ
周りの奴らが「お願いだ」と叫ぶ
カリーマは確信犯だ
注目を集めるのは難しいことじゃない
眩暈に陶酔して
飛び降りる
それは酒のせいだったのか
俺の魂の叫びだったのか
俺自身よくわからない
<Syco訳>
**「鉛のパイプ、君は財産を成した」、の部分は意味不明なので調べたら、イギリスのコメディアンのTony Hancockという人のコントで暗唱するナンセンスな詩の一行でした。 ピート・ドハーティのパパがTony Hancockのファンだったらしい。 アルバムのタイトル"Up the Bracket"もTony Hancockの台詞から貰っている
レディングでのリユニオンは仲直りしたピートとカール。
オマケの4コマ