1999年のウッドストックのドキュメンタリーを見たよ

ネットフリックスを点けたら、ウッドストックのドキュメンタリーがお勧めに出ててきた。 原題は”Trainwreck: Woodstock '99”、邦題は「とんでもカオス! ウッドストック1999」だって。

1999年のウッドストック...、そういやあったよな。 1999年は私は娘を産んだばかりで、育てるのに精いっぱいで音楽どころではなかった時期だ。 でもニュースで1969年の自由と愛と平和の音楽フェスのウッドストックとは似ても似つかない、ロック史上に残る大失態フェスだと報道されてたのは記憶にある。

これはいかにこのフェスがダメだったかを伝える趣旨で制作されたドキュメンタリーだ。 出演アーチストのライブを見たい人向けのじゃありません。

私は怖いもの見たさで見始めた。金土日の3日間のフェスをシリーズ3回に分けているが、日を追うごとにに観客の不満と怒りが上昇していくのがわかり、見てるこっちも緊張してくるぜ。 スリラー映画並みに怖いんだ。

そもそも主催者側が69年の『ウッドストック』という名前だけを借りて、ウッドストックとは真逆の商業主義一辺倒だった。 そして訪れる側はウッドストックだもの、ドラッグとフリーラブが体験できるんじゃないかと期待してやって来た。

そして、ぼったくり価格の食べ物や飲み物、トイレ設備のお粗末さ、清掃スタッフも警備員も満足に配備しておらず会場はたちまちゴミだらけ。 更に輪をかけるように猛暑日となり、満足な飲み水も無く、一帯は難民キャンプのようになっていく。 

ステージのラインアップは90年代のグランジバンド、リンプ・ビズキッド、キッドロック、レイジ・アゲンスト・マシーンのような攻撃的な白人ラップロックバンド、メタリカ、メガデス、コーンのようなメタルバンドが並び、愛と平和よりも自己憐憫と怒りのメッセージを送る。

モッシュピットを体験したことがある人はわかると思うけど、嵌ってしまうと外に出るのが地獄のように大変なんだ。 それが15万人ものモッシュピット。 ドラッグやっている奴もたくさんいるし、それに何よりも怖いのは、皆楽しんでいるのではなく、そこにあるのは不満と怒りだということ。

観客からは何百個ものペットボトルがステージに向かって投げられ、女性アーチストがステージに上がれば、「乳見せろ」とヤジが飛ぶ。もう、暴動が起きるのは時間の問題。 

そしてどこまでこのフェスの失態が続くのだろうと息を飲んでみていると、最終日のトリであるレッド・ホット・チリペッパーのライブの間に、主催者側はキャンドルサービスを計画しており、会場の一人一人にろうそくが配られる。 

ダメだよー、ぜったいダメ! 酒やドラッグが入った怒れる若者たちに火を配るって、何考えてんだよ、おめーら全員バカかよぉー! 当然のこと、いろんなものに火がつけられあちらこちらで火事が発生する。そしてレッチリは、それを煽るように、ジミ・ヘンドリックスの『ファイアー』をうたうんだ。そのあとは起こるべくして暴動が起きて、最後は機動隊まで出動するんだけどさ。

90年代の最後にウッドストックの精神を求めるのは無理なんだよ。 60’sのヒッピー達の共同体の精神なんて持っていないし、今のMe TooやLGBQのような人権運動もまだ起きておらず、自分を理解って~、自分を認めて~、とひたすらグズるグランジ世代だったのだからね。 私としては、実はカルチャー的にも音楽的にも90年代はあまり好きじゃない。 だから一歩置いて、結構他人事のようにこのドキュメンタリーを見れたと思う。 これがもし自分の時代だったら辛くて見てられないだろうなー。

 

ボウイーの『フリーフェスティバルの思い出』という曲を聴くと、きっと69年のウッドストックはこんな感じだったのかな、って思う。 私は体験してないのに、なんか甘酸っぱい気持ちになってしまうのよ。

 

Memory of a Free Festival / David Bowie (1969)

youtu.be

夏の終りの子供たちは
湿った草地に集まった
僕らの歌をうたいロンドンの空を
腕の中に感じた
神の国のようで
不完全で、ナイーヴで、
天国のようでもあった

一つ一つの命を支える魂に
僕らは触れた
真の喜びが走り抜けるような気がした
ありえなかったんだけど、そんな気がした
あの日、たくさんの人にキスをした

あの日の午後に流されたエクスタシーをたった一滴でも受け留めよう
白い風船の上に愛を描こう
そして人間の頭脳が達っしえるところよりも
もっともっと高い所から飛ばそう
サトリとはそのようなものに違いない

虹色の瞳で空を眺めると、大小の様々な形の飛行船が見えた
通り過ぎて行く金星人と話した
そして、ピーターは船に乗ろうとしたが、キャプテンは首を横に振った
そしてふわふわした象牙色の雲の向こうへと
消えて行った
僕らの中で誰かが祈りを唱えた
そして散り散りになって家へと向かった

『太陽船が降りてくる。 パーティをやろう
太陽船が降りてくる。 パーティをやろう
太陽船が降りてくる。 パーティをやろう
太陽船が降りてくる。 パーティをやろう
太陽船が降りてくる。 パーティをやろう』

<Syco訳>

 

オマケ4コマ ‘’マイジェネレーション‘’