ハイウェイ40号線上の女

ノースキャロライナを東西に走る40号線を毎日行ったり来たりしてる中年女は何を考える? 

ナッシュビルってこんなところだったっけ?

去年の今頃、3日掛けてノースキャロライナからテキサス州のオースティンまで、娘ちゃんの引っ越しを手伝ったばかりだというのに、たった一年でまた引っ越すことになった。

娘ちゃん曰く、オースティンは好きなんだけれど、今度はニューヨークに住みたいんだってさ。 リモートワークだとどこに住もうと勝手だから、独身で若かったらジプシーのように住みたいところに流れて行けるんだね。 ニューヨークのアパートは9月からなので、それまではアパラチアの山の家に居候をするってさ。 私はまた引っ越しを手伝いに飛行機でオースティンに飛び、ノースキャロライナまで二人で交代で運転して帰って来た。 

2000キロの道のりを去年はニューオーリンズ経由で帰って来たけど、今回はオースティン(テキサス)→リトルロック(アーカンソー)→ナッシュビル(テネシー)というルートを取る。

移動二日目に泊まった町、ナッシュビルはカントリーミュージックのメッカと言われている。 私はカントリーミュージックは殆ど聴かない。 よく聴いたこともないのに言っちゃ悪いんだけど詰まらないって印象なんだよね。 ブルースやジャズやブルーグラスもあまり詳しくないけど耳に入ってくると体が乗ってくる。 でもカントリーは乗れない。 乗り方がわからない。 あの南部訛りが~、甘ったるい歌詞が~、私を眠気を誘うのよ。

しかし、ナッシュビルに来たからにはカントリーを聴かなくちゃ。 スペインに行ったならフラメンコ、中東に行ったらベリーダンスと言ったノリだね。 行く先々で名所を押さえなきゃ。 根が貧乏性なのよ。

ナッシュビルの中央通りのブロードウェイにはたくさんのライブハウスが並び、ニューオリンズみたいに気軽に覗いてライブを見られるらしい。 4時ころにホテルに着いたのでさぁ、娘ちゃん、ダウンタウンに行こうぜ、カントリーを聴こうぜ、ヒーハー! 

それが、娘ちゃん、「行きたくない。 ナッシュビルは南部のラスベガスなんだよ。 バッチェラーパーティやバチェロレットパーティをしに全国から集まってくるんだよ。 そんなとこ行ったらコロナ貰って帰ってくるだけだからヤダ。」 と言い始めた。

バッチェラーパーティとは結婚を控えた男性が独身最後の夜を男友達と楽しむパーティーで、バチェロレットパーティーとはその女性版。 映画「ハングオーバー!」を見た人なら、そのバカ騒ぎぶりがわかると思う。 ストリッパーとか呼んで意識飛ぶまで酒を飲んで騒ぐのが定番だ。

え、せっかくナッシュビルに来たのにー。 行こうよ、ちょっとだけでいいからさ、ライブ覗いて帰ってこようよ。 お願い、娘ちゃーん、あんたの人生はまだこれからだけど、母は最後のチャンスかもしれないんだぜ。 

しぶしぶ娘は承諾してくれたけど、着替えもせず穴の開いたTシャツにトレパンとサンダル姿でついてきて、気乗りがしないアピール全開だ。 なんか私のテンションも下がってくるわ。

ナッシュビルの中央通りは娘の言う通り、パーティー、パーティー、パーティーだった。 通りを走るのは、パーティーができるバルコニー付きのリムジンバスやペダル式移動ビアバーで、若者が奇声を張り上げて騒いでいる。 そして、黒人の多い南部でありながら、メンフィスやニューオリンズとはまるで違って99%が白人だ。 誰もマスクしていないし。 唯一アジア人と半アジア人の私たち親子だけマスクをしっかりつけて歩く。 妙に居心地が悪くなってきたゾ。

私はもっと古き良きカーボーイの街を想像していたのに全く違った。 カントリーミュージック・ホール・オブ・フェイムというすごく立派なミュージアムや、大きなコンベンションセンターや高級ホテルがバカバカ建てられ、ニューオリンズやメンフィスの町に見られるような、昔ながらのサルーンとかバーとかは皆無。 カントリーミュージックとは全く関係のない、田舎者が一生に一度のバッチェラーパーティーをやりにやって来てはしゃぎまくる、大人のディズニーランドとなっていた。 

カントリーミュージックだけでは観光業は厳しいのは分かるけど、町の人たちはこだわりとか誇りとか、無いのかね? もし私がコアなカントリーミュージックファンだったら、この変わり果てたナッシュビルに失望すると思う。

もういいわ、帰ろ…、とろくに音楽も聴かずにホテルに戻った私たちでした。

 

トラックの荷台はバーです。

 

観客の多くはバチェロレットパーティー女子


ナッシュビル、もう二度と行かないと思う…。

 

オマケの一曲。カントリーミュージックは知らないので、VUのこの曲はどうかな…?

 

Lonesome Cowboy Bill / the Velvet Underground (1970)

 

youtu.be

 

ロンサムカーボーイのビルが
ロデオに跨る
ロンサムカーボーイのビルを見なよ
「ハイディーホー」とヨーデルするのをさ!

ロンサムカーボーイのビルが
ロデオに跨る
ビルは小さな時から、
大のロデオ好き


飛び跳ねる荒馬、ワインを飲みながら
ビルが挑むのを見なよ
そしてテンガロンハットの女の子はみんな
彼の「ハイディーホー」が大好きさ

それは
ロンサムカーボーイのビルが
ロデオに跨るから
ロンサムカーボーイのビルを見なよ
「ハイディーホー」とヨーデルするのをさ!

おぃ、ロンサムカーボーイのビル
まだロデオに乗っているんだね
コロラドの湖畔を周って
オハイオに下る
時にはニューオーリンズまで
マルディグラの祭りにやって来る
そしてテンガロンハットの女の子はみんな
彼の「ハイディーホー」が大好きさ

彼はロンサムカーボーイのビル
ロデオに跨る
ロンサムカーボーイのビルというだけ
彼が「ハイディーホー」とヨーデルするのを見なよ!

彼のロデオを見逃すな
馬に乗ればものすごい速さ
観客が興奮して叫ぶのを
聞いてごらんよ

人々は彼を
ロンサムカーボーイのビルと呼ぶ
彼は

ロンサムカーボーイのビルだ

ロンサムカーボーイのビルが
ロデオに跨る
ロンサムカーボーイのビルを見なよ
「ハイディーホー」とヨーデルするのをさ!

俺は言うよ

彼の「ハイディーホー」を見ろよって
あぁ、ロンサムカーボーイのビル
ロンサムカーボーイのビルさ

<syco訳>

sycob.hatenablog.com

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