あぁ～～、テリー・ホールが亡くなってしまった。 享年６３歳って何？ 短い病気って何？ 去年スペシャルズでまたレコード出したばっかりなのに。 もしかしたらライブが見れるチャンスがあるかも、って思っていたのに。 その夢も消えてしまったよ。
スカを歌っても、パンクでもポップでもバラードでもイスラム音楽でも、何を歌ってもテリー・ホールだとすぐにわかる彼のボーカルが大好きだった。 無表情で歌うのに、決して無感情ではなく、むしろ繊細で傷つきやすい青年の声をいつまでも持ち続けていた。
８０年にブームを起こしたツートーンレーベルで初めてスカという音楽を聴いた。当時私は、スカというのはイギリスでレゲエとパンクが融合して生まれた新ジャンルだと思っていた。 スペシャルズやマッドネスなどのツートーンが生み出したと思っていた。 実はスカって、レゲエが生まれる以前にあったジャマイカの音楽だったと知ったのはそれから数年後だ。 でもツートーンがパンクのアティチュードを持つブリティッシュスカを生み出したのは事実だ。 白人と黒人のスキンヘッズが一緒にバンドを組むというのもすごく画期的で、当時クラッシュが好きだった私はすぐにハマった。 パンクよりも好きになった。
テリー・ホールは暗くて気難しそうに見えるけれど、スペシャルズの後も、バナナラマ、ユーリーズミックスのデイヴ・スチュワート、ライティングシーズ、デーモン・アルバーン、シネード・オコーナー、リリー・アレン、エイミー・ワインハウスなど、本当にいろんな人とコラボしていて、実は親しみやすくていい奴なんだと思う。
訃報を聞いてから、テリー・ホールの過去のインタビューをYoutubeで観たり聞いたりしてたんだけど、やっぱり彼もずっとうつ病に悩まされていた事実を初めて知った。 ファンボーイスリーが終わった時、衰弱しきってしばらく引きこもったり、２００４年には自殺未遂もして、双極性障害と診断される。
そして１２歳の時に性被害に遭ったことがその大きな原因であることも知った。 ファン・ボーイ・スリーの”Well Fancy That！”という曲があって、フランスに修学旅行に行って性被害に遭うという内容の歌詞なんだけど、それは彼自身の経験を基にしてたんだ。
テリー・ホールの憂いを秘めたスタイルが大好きだったけど、それは彼の苦難の現れでもあったんだ。 本当に私たちリスナーはアーチストに感謝しなきゃいけないんだね。
４０年以上も続いたテリー・ホールのキャリアからここで３曲選ばせてほしい。
まずスペシャルズからはこの曲。 アップビートでユーモアと風刺、思わず外に飛び出してスカンキングを踊りたくなるよね。
Too Much Too Young / the Specials (1979)
オマエはやり過ぎた
やるには若過ぎた
今では家庭を抱えてガキもいる
俺と一緒に遊ぶことができたっていうのに
あぁ、もうガキはいらない
オマエはやり過ぎた
やるには若過ぎた
今では家庭を抱えてガキもいる
俺と一緒に遊ぶことができたっていうのに
いらない、いらない。
これ以上ガキは欲しくない
ガキは可愛いだろ？
いや違う
生活保護で暮らす中での
もう一つのお荷物なだけ
オマエはやり過ぎた
やるには若過ぎた
今では家庭を抱えてガキもいる
俺と一緒に遊ぶことができたっていうのに
いらない、いらない、
もうガキはいらない
浅はかとか
カッコつけてるとかいわれても構わない
君のバラの園に肥しを撒きたい
金持ちにならなくたっていい
有名にならなくったっていい
でも君に僕と同じ姓になってほしいんだ
（オマエはバカか）
オマエはやり過ぎた
やるには若過ぎた
今では家庭を抱えてガキもいる
俺と一緒に遊ぶことができたっていうのに
避妊をすれよ、ガキはいらない
オマエはやり過ぎた
やるには若過ぎた
今ではお前は煮物の番をし
お茶のためのブドウパンを焼いている
ああ、もうガキはいらない
１００万人が飢えている話を聞いたことがないかい？
避妊法ってのを聞いたことないかい？
不妊手術をしようと思はないかい？
人口が増えるのを抑えたいと思はないかい
オマエのリビングでだよ
親の世代とは違うんだから
ゴムをつけろ！
<syco訳>
テリー・ホールはやっぱりスペシャルズだ、って思う人が多いけど私はスペシャルズのジャマイカン出身の二人とテリーが組んだファン・ボーイ・スリーも同じくらい好きだな。パーカッションと黒人二人のコーラスとテリーのメランコリーなボーカルで、ニューウェーブ全盛の中、とてもユニークなサウンドだったと思う。
このバラードはチェロの響きとテリー・ホールのボーカルが驚くぐらい マッチする。
the Tunnel of Love / Fun Boy Three (1983)
結果が真相を変え
折られた鼻は顔つきを変えた
僕のエゴはもう一人の自分を変え
どこへ行くにもついて来る
花の咲く野原を散歩し
一番始めにみつけた木に君の名を刻む
君がマッチを磨ると２２の罠がある
そして君はひざまずく
愛の洞窟の中に
君はまず足から落ちる
自分はよい友達だと思ってるけど
わかるだろ、いつも最後に行きつくところは
愛の洞窟の中
それで君は婚約パーティーをして
ウェディングベルを鳴らす時はまだ１７
眺めの良い部屋ともうすぐ生まれる子供
遅刻せずに教会に行けるか心配
というのも招待客のリストがどんどん長くなり
婚礼品もどんどん増えていく
おまけに君は若くなることは無いし
物事はよい方向に向かうのか？
愛の洞窟の中に
君はまず足から落ちる
自分はよい友達だと思ってるけど
わかるだろ、いつも最後に行きつくところは
愛の洞窟の中
だから結果が真相を変え
ハネムーンは遠出をした
しかし別居をしてみたら
それが離婚という結果を生んだ
新しい生活のため多くの友達も無くし
二人とも離婚暦を持った
マッチを磨ると２２の罠がある
そして君の人生は愛の洞窟へと葬られる
愛の洞窟の中に
君はまず足から落ちる
自分はよい友達だと思ってるけど
わかるだろ、いつも最後に行きつくところは
愛の洞窟の中
愛の洞窟 愛の洞窟
愛の洞窟 愛の洞窟
愛の洞窟 愛の洞窟の中
<syco訳>
テリーのその次のバンド、カラーフィールドも大好き。 テリーのボーカルがボサノバのリズムに乗る、彼の数少ないハッピーな曲のひとつね。 ビデオもちょっと笑顔を見せてていい感じのテリー。
Thinking of You / the Colour Field (1985)
自分でもなんとなく気づいている
君のことを想うべきだって
でも友情は信用の上に成り立つのに
僕を全く信用していない
でも明日はどうなるかわからない
お互いの悲しみを分かち合えるかな
僕らの冷めた態度は
孤独の旗を振っている証かもしれないし
君が僕のことを想ってくれるなら
僕も君を想ってもいいよ
君が考え直すと決めたなら
君のことを想うよ
君が望むならいつだって
孤独から歩き去ることができるんだ
それに君はたぶん失うものなど
何もない人間だと思うし
でももうどうでもいいや たぶん明日は
君が先を行って僕が後を追う
だから天使も怖がるところを歩いて行こう
それが君が望む全てなら
君が僕のことを想ってくれるなら
僕も君を想ってもいいよ
２，３時間あれば
君はどうするべきかわかるはず
君が困っているときに
僕は助けになると思うよ
だから君が考え直すと決めたなら
君のことを想うよ
サイコロを振ろう
この愚か者のパラダイスで
月夜を分かち合い
でたらめを言い合おう
目を覚まそうよ
バスに乗ってどこかに行こうよ
どこか知らないところにさ
生きてて良かったって感じられるような
そしてもう十分ってぐらい食べる
意味のないことをいろいろやって
周りが怒るのを見て笑おう
４つ葉のクローバーの上に寝ころび
孤独の旗にさよならを言おう
君が僕のことを想ってくれるなら
僕も君のことを
どんなことがあっても、笑顔で我慢する
絶対負けないよ
君が困っているときに
僕は助けになると思うよ
だから君が考え直すと決めたなら
君のことを想うよ
<syco訳>
