ボブ・ディランの映画「名もなき者」を観たよ

娘ちゃんがクリスマス休暇で帰省しているので、一緒にボブ・ディランの映画”A Complete Unknown” (邦題「名もなき者」)を見てきた。 娘ちゃんはティモシー・シャラメの大ファンだからディランは興味ないながらも付き合ってくれた。

ミュージシャンのバイオピックは、役者がいかに本人に似ているかが楽しみ方の一つだよね。 そういえば前にも「アイム・ノット・ゼア」という、ケイト・ブランシェットを始め6人の役者がボブディランを演じる実験的なバイオピックがあったよな。 でも物まね王座はティモシー・シャラメに決まりだな。 ティモシーは口パクせず、全曲全部自分で歌ってギターも弾いて、そして声も歌い方もディランにそっくり。 私の耳では完璧にディランだったよ。 でも鼻はディランに寄せて付け足したらしい。

物語は1961年から始まって無名のディランがニューヨークに上京してきてから有名になるまでの4年間の出来事を描いている。 私はディランのアルバムを一枚も持ってないのだけど、映画に出てくる曲はみんな知っていた。 この時期のディランの曲が世に一番知られているのかもしれないね。

ディランの私生活の知識は無かったので、私がこの映画を見て知ったこと。 若いディランはルックスもいいし謎めいた雰囲気から女の子にはモテたけど、女性の取り扱いは太宰治みたいにクズだな。 それからアコギ一本のフォークスタイルが、エレキとバンドを抱えて演奏するだけで、まるで犯罪を犯したみたいな扱いをされるのが60年代のフォークシーンだったんだ。

どれだけ事実を正確に描いているか分からないが、歌うシーンが盛りだくさんで良かったわ。 ジョアン・バエスやピート・シーガーやディランの周辺のミュージシャンもたくさん出て来て歌ってくれて、音楽好きなら楽しめるエンタメ映画だよ。 後に舞台ミュージカルになってもおかしくない感じだわ。

エドワード・ノートンのピート・シーガーもたぶんそっくりなんだと思う。 ピート・シーガー、知らんけど。↓↓

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そしてシーガーの奥さんは日系アメリカ人。控えめで良妻賢母型の日本人妻として描かれていて、これってステレオタイプ?って気になったわ。 ほぼセリフ無しで微笑んでいるのよ。 

 

前にも書いたが私はディランのあのダミ声と歌い方がどうも苦手。 でも英語がすんなり入ってくるようになって、歌詞が良さがわかってきて、ようやくディランは凄いぜって思えてきたのよ。

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ミスター・タンブリンマンは、今聴くと、死んでいく瞬間を想像した歌に聴こえるのだけど…。

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Mr.Tambourine Man (1965)

ねぇ、タンバリンマン、一曲聴かせてくれよ
僕はまだ眠くないし、行くあてもないから
ねぇ、タンバリンマン、一曲聴かせてくれよ
シャンシャン鳴らす朝、僕は君について行くよ

夕方の帝国は砂に還って
僕の手から消えてしまって
やみくもに立ち尽くされたけど僕はまだ眠っていない
驚くほど疲れているのに気づき、足に焼き印を押され
会う人も一人もいない
そして、空っぽの古代の道は閑散として夢すら見れない

ねぇ、タンバリンマン、一曲聴かせてくれよ
僕はまだ眠くないし、行くあてもないから
ねぇ、タンバリンマン、一曲聴かせてくれよ
シャンシャン鳴らす朝、僕は君について行くよ。

渦巻く魔法の船で旅に連れて行ってくれよ、
意識が遠のいて行き、握る感覚がなくなる
つま先はしびれて地を踏めず、ブーツの踵が
ふらつき始める
どこへでも行くし、消え去る準備も出来てるよ
自分のパレードの中へと、踊りの魔法をかけてよ
絶対にかかってみせるから

ねぇ、タンバリンマン、一曲聴かせてくれよ
僕はまだ眠くないし、行くあてもないから
ねぇ、タンバリンマン、一曲聴かせてくれよ
シャンシャン鳴らす朝、僕は君について行くよ

太陽の向こうから、狂ったような笑い声が揺れるように旋回して聞こえるかもしれないけど
それは誰かに向けられてるのじゃなくて逃げ惑っているだけ
空には柵などないし
君のタンバリンに合わせてスキップする微かな足音が聞こえたら
後ろに居るのはただのぼろを纏った道化師だ、
僕は気にも留めないよ、だって君が見ているのは
彼が追いかけている影でしかないんだから

ねぇ、タンバリンマン、一曲聴かせてくれよ
僕はまだ眠くないし、行くあてもないから
ねぇ、タンバリンマン、一曲聴かせてくれよ
シャンシャン鳴らす朝、僕は君について行くよ

そして僕を連れ去ってくれよ 心の中にある煙の輪っかをくぐって
霧に包まれた廃墟を遡って、木の葉が凍てつくはるか昔へ
呪いに怯えた木々を越え、風の吹く浜辺へと、
膨大な悲しみが追って来るのを遠く離して
そう、ダイヤモンドの空の下で、片手を自由に降って踊るために
海がシルエットを描き、サーカスの砂が円を描く、
波の下深くに流れるすべての記憶と運命と共に
今日のことは明日まで忘れさせてくれ

ねぇ、タンバリンマン、一曲聴かせてくれよ
僕はまだ眠くないし、行くあてもないから
ねぇ、タンバリンマン、一曲聴かせてくれよ
シャンシャン鳴らす朝、僕は君について行くよ

<syco訳>