今年の初めから私の住むこの国は急速に独裁化しているので、仕事の合間や夜遅くまでMSNBCやCNNや独立系のニュースサイト見たり、ポッドキャストを聴いたりして、アメリカおかしいよね、間違っているよね、ってのを確認しないと不安で仕方がない。
そうしているうちにすでに今年半分が過ぎて、大好きなミュージシャンの訃報もいくつかあったけど、それを偲ぶ文章も書けてないじゃないの。
私が一番ショックだったのは、2月に亡くなったデビッド・ヨハンセンだ。 だって彼がニューヨーク・ドールズの最後の生き残りだったから。
ニューヨーク・ドールズを知ったのは、私が中学生の時、日本で大人気だったジャパンが大影響を受けたバンドだと言ってたから。 デビッド・シルビアンはシルヴェイン・シルヴェイン、 スティーブ・ジャンセンはデビッド・ヨハンセンの苗字を真似て付けたということは有名だ。
その頃、ドールズはアルコールや薬物のせいですでに終わっていたんだけど、そのファッションとポップアート的なロケンロールは私にとっては衝撃的だった。 ロッキー・ホラー・ショーはこれが原点だったんだって思った。 2枚のスタジオアルバムはそれほど売れなかったけど、ブリティッシュパンクの誕生に多大な影響を与えた。
本国アメリカよりもイギリスで人気が出たというのはなんか分かる。 カウボーイ文化のアメリカ人にドールズは無理だ。 彼らはシシーな(女々しい)ファッションに拒否反応を起こすからね。 グラムロックもアメリカでは流行らなかったし。
モリッシーは13の時にドールズに救われたと言っている。 ドールズが無かったらスミスも生まれなかったかもしれない。
ニューヨーク・ドールズはファーストアルバムを出す前にドラマーが急性薬物中毒で亡くなっている。 そんな悲劇が起こったにもかかわらずバンドは薬物を止められない。 人生投げ出してるんだよね。 普通の人間には理解しがたいけど、普通の人間はあんな格好でロケンロールしないからね。 私には薬物に溺れて死んでしまうロッカー達はみんな殉教者に見える。 クレイジーになれない私たちに変わって犠牲になってくれたと思っている。
ジョニー・サンダーズもジェリー・ノーランも40前後で亡くなった。 アーサー・ケインはモリッシーが企画した2004年のドールズの再結成ツアーの直後に亡くなった。 ほかのメンバーほど薬物に呑まれなかったシルヴェインとヨハンセンは、ミレニアム後も音楽活動を続けている。 シルヴェインは2021年に癌で亡くなった。
アーサー・ケインのドールズ後の人生を追った素晴らしいドキュメンタリー映画『ニューヨーク・ドール』(2005年制作)は日本でも見ることができる。 自殺未遂し、一文無しでモルモン教に改心し、図書館員のパートタイマーをしながら、障がい者保険で細々と暮らす彼はドールズ時代があったとは想像できないぐらい穏やかだった。 そしてとってもとっても悲しい映画だった。
デビッド・ヨハンセンも長年病気に苦しみ、晩年には癌の治療にかかる医療費を集めるためにクラウドファンディングを立ち上げていた。 アーチストってヒット曲を出し続けるか、大ヒットを出してそれを歌い続けるかしない限り、大概金銭的に困窮してしまう運命なんだね。
メンバーはみんな、ニューヨーク・ドールズだった5年間がピークで、それ以上に成れることなく一生を終えていった。
R.I.P. ドールズ。
画像が悪いけどヨハンセンがドレス着て、ボロボロに崩れた男娼姿が見れる。 まだパンクロックが無い時代に3コードパンクをやっていたんだね。
Pills (1973)
病院のベッドで寝ていたら
ロケンロール・ナースに頭をやられた
彼女は言った、「手を後ろに組んで、舌を出して」
薬があるから飲ませてあげる
頭をやられた 頭をやられた
ロケンロール・ナースに頭をやられた
頭をやられた 頭をやられた
病院で寝ていたら
足の薬を飲んだけど、ちっとも痛くなかった
心臓の薬を飲もうとしたが、それはちょっと手遅れだ
愛の薬を飲んだら、気が楽ちんになってきた
そしたらロケンロール・ナースが俺を膝まで震えさせた
頭をやられた 頭をやられた
ロケンロール・ナースに頭をやられた
頭をやられた 頭をやられた
病院で寝ていたら
看護師さん、看護師さん、
なんで俺にこんなことをするんだい?
薬を飲ませられ、注射をされ
何が何だかわからない
頭をやられた 頭をやられた
ロケンロール・ナースに頭をやられた
頭をやられた 頭をやられた
病院で寝ていたら
ロケンロール・ナースに診てもらう
彼女は事態を悪化させる
俺の脳内に
すっと薬を打ち続ける…)
先生、先生! 俺を早く診てくれよ
看護婦は俺を正しく扱っていない
注射を打って、薬を打って
意志に反してこんな変な薬を飲ませてる
頭をやられた 頭をやられた
ロケンロール・ナースに頭をやられた
頭をやられた 頭をやられた
病院で寝ていたら
<Syco訳>
私の一番好きな曲はやっぱりこの名曲。
Personality Crises (1973)
俺たちはもう我慢できない
彼女の友達すら耳をふさぐ
いつかまた彼女の話を聞けるといいが
それは全てあの
人格の危機が流行ってきた時、おまえは乗っかった
でも今は苛立ちと心痛を抱えている
(だから人格について話すんだ)
でも今は何かになりたい、いや、おまえには使命がある
何かを大声で叫びたい
でも実際そうしたらすべてエネルギーを持っていかれた
喚いたり叫んだり、それは恥だと確信させられる
おまえが不安に思ってたこと全てに矛盾させられる
(おまえは情緒不安定…)
人格の危機が流行ってきた時、おまえは乗っかった
でも今は苛立ちと心痛を抱えている
そしてお前は春の日の午後にバレリーナになって
狼男に変身して、月に向かって吠えるんだ、ウォーン
それは全てあの
人格の危機が流行ってきた時、おまえは乗っかった
でも今は苛立ちと心痛を抱えている
運を天に任せて
鏡を見ればそこには友達の顔がいっぱいだ
あの人格、あらゆる場面が重なり始める
人格、心が融合していく
友達の真似をして生まれたたくさんの人格
その友達の友達の友達の友達の…
人格、有名人はどうやって修復してるのか?
(テレビではカッコいいけど)
人格の危機が流行ってきた時、おまえはのっかった
でも今は苛立ちと心痛を抱えている、心配しないで
人格の危機、どうか泣かないで
それはただの人格の危機、どうか止めないで
だっておまえは人格を歩かせ
人格に話をさせるから
<Syco訳>

以前に上げたドールズのエントリー