『Brave New World 』(すばらしい新世界)を読んだ。 『1984』と並んで、ディストピアを描くSF小説の名作と言われているよね。
私はSFはあまり読まないのだけれどマイケル・ペンの同タイトルの曲が大好きで、いったいどんな話なんだろうかとずっと気になっていた。 それにストロークスもこの小説に出てくくるクスリの”Soma"という曲を書いてるし。
ディストピアだけど『1984』のように悲惨で重くはなく、風刺が効いていて軽く読めた。 『すばらしい新世界』では人は生まれる前の胎児の操作と幼児期の洗脳と睡眠学習で、それぞれ決められた役割を従順に果たすロボットのような存在だ。 厳格な階級社会なのだけれど嫉妬もないし争いもなく、調和を保ってみんなが幸せに生きている。
痛みもストレスもない人生は幸せなはず。 人類がみんな自由意志を放棄すれば幸せになれるのだ…。
もちろん読んでいて、それが本当の幸せか?と考える。 そもそも幸せって何だろう? 病気をしたあとに、健康でいることの素晴らしさを再確認するよね。 痛みを経験せずに痛みの無いことの素晴らしさを感じられるのだろうか。
で、やっぱり人間は苦しみ悲しみがないとだめだよね、なんてヒューマニズムでこの小説は終わらなかった。 なんかモヤモヤ感が残るのよね。
でもとりあえずマイケル・ペンとストロークスの元ネタを読んだのでスッキリした。
こちらがマイケル・ペンの『すばらしい新世界』
Brave New World / Michael Penn (1989)
赤子はゆりかごの中に隠れて
第三次世界大戦がいつ始まるのかとせわしなく考える
車を出して西に向かうと彼女に告げると
私も行きたいけどドレスを着ているから行けないわと言った
それで僕は中西部の岸辺の絵ハガキを送った
新しい友達のフランクに見せたと言った
その男は19階の窓から見えた
年は僕と同じぐらいで、
人は飛ぶことは出来ないことを実証しようとした
そして彼は知りたいらしい
僕がこの町を出る前に
スローモーションで崩れ落ちる映像を確認できたかどうか
今日は最高の日とは言えないけれど
今は黄金時代じゃないし
高速の上の君はとてもきれいだ
車を走らせよう 恐れを知らない新世界へと
バンが僕の前で止まって、乗せてやると言った
運転手は地図を失くしたといって怯えていた
みんなは彼にプライドを保たせようと囁いていた
「道案内をお願いできるかな」
運転手は叫んだ「後ろの奴がすでにやろうとしたけど、
記憶は衰えているし、目も悪くなっている」
メガネと高滑油が脇にあったが
ブリキ男は動かないし、ライオンは横たわっていた
僕には去って欲しくないようだったけど
僕は三銃士の一人にはなりたくなかった
それにバンのギアを入れる前にガソリンが無くなる
聞き返さないでくれよ
今は黄金時代じゃないんだよ
高速の上の君はとてもきれいだ
車を走らせよう 恐れを知らない新世界へと
バスターとその仲間は黒がよく似合う
彼らは袋小路から抜け出す道を探している
電話帳や暦を破いたりして
シェラックを嗅いでいるのかみんな鼻が埃まみれ
高級娼婦とBMWに乗りまくる
マタドールの番号をやっと見つけた
でももう遅すぎた
バスターはドアを閉めて、戦争が始まる前に戻ると言って走り去った
そうこうするうちに辺りは暗くなり
君が道の脇に車を停めたのを見たとき
僕はもうここに居たくないと思った
今日は最高の日とは言えないけれど
黄金時代じゃないし
高速の上の君はとてもきれいだ
車を走らせよう 素晴らしい新世界へと
聞き返さないでくれよ
今は黄金時代じゃないんだよ
高速の上の君はとてもきれいだ
車を走らせよう 恐れを知らない新世界へと
<Syco訳>
ジュリアン・カサブランカの歌唱力って凄い。 エモ過ぎるわ。
Soma / the Strokes (2001)
ソーマとは、苦しみに気づいたとき
彼らが摂取する薬
痛みを新たな形で見た時
2,3の勝利のための大きな賭け
太陽の光と競い合いながら
夢を失いながら
君の眼にはそう映る
そして僕は立ち止まって、また歩みだす
君の眼には、ほら
僕は立ち止まって、また歩みだす
君の眼にはそう映る
さあ行こう
初めて彼女を見た時
彼女は目を閉じるとその唇が動いた
彼が何か言っているのが聞こえた
「そこに行くよ」と言っていた
そして彼は出て行った
どういうわけか彼は
がんばって彼らみたいになろうとしていた
そして僕は立ち止まって、また歩みだす
君の眼には、ほら
僕は立ち止まって、また歩みだす
ああ、ダーリン、行かせてくれよ
一度やっただけで好きになった
そして平静を装って
「25年もこれをやってきた」と言う
でももう彼らの話は聞きたくない
そしてあの仲間たちそれをもっと欲しがる
だけれど、もうこれで終わりだ
<Syco訳>
Huluで『すばらしい新世界』のドラマシリーズが見られることを知ったので、第一話を観てみたんだけど、私の小説から受けたイメージとは全然違う世界観だったから一話で見るのを止めた。
90年以上昔に書かれたSF小説を今の視聴者にも違和感のないように最新のSFドラマに仕上げているのでイメージが変わるのも無理もないか。
でもサウンドトラックの選曲は良いわ。 「過度に近代化した新世界」と並行して「野人の世界」があるんだけど、そこの住人の青年のカーステから流れてきた曲が私の大好きなカー・シート・ヘッドレストのこの曲。
鬱になる権利などあなたにはありません! ピッタリのサントラだ。
Fill in the Blank / Car Seat Headrest (2016)
「カッコ内を埋めろ」にはもううんざりだ
何か達成したようで何も達成してない
もし僕が分裂できるなら、拳を取る
そうすれば、残りの自分をぶん殴ることができる
君に落ち込む権利などない
努力していないから好きになれないんだ
まだこの世界を十分に見ていない
でも苦しい、苦しい、苦しい、苦しい
さあ、文句ばかり言ってないでもう一度がんばれ
誰も君を苦しめようとしていない
ただ空気を入れ替えようとしているだけ
でも君は息を止める、息を止める、息を止める
息を止める、息を止める、息を止める
ずっと前から気が付いていた
僕が望むものを他人からもらえてないことに
やっと気づいた
自分が何を望んでいるのかわからないことに
君は「なぜ?」と尋ねるだろう 何の返事もない
そして君は「どれくらいの間?」と尋ねるだろう 何の返事もない
そして君は「何ができるだろう?」と尋ねるだろう 何の返事もない
そして結局は黙りこむ
君に落ち込む権利などない
努力していないから好きになれないんだ
まだこの世界を十分に見ていない
でも苦しい、苦しい、苦しい、苦しい
さあ、文句ばかり言ってないでもう一度がんばれ
誰も君を苦しめようとしていない
ただ空気を入れ替えようとしているだけ
でも君は息を止める、息を止める、息を止める
息を止める、息を止める、息を止める
警官から指示される
「頭をあげるな」と
観客が示す
「外に居ろ」と
神から告げられる
「頭をあげるな」と
ああああああああああ
ああああああああ
僕は落ち込む権利がある(君に落ち込む権利はない)
戦うことを諦めた(君ははまだ十分に努力していない)
十分この世界を見てきた、そうさ(まだまだこの世界を知らない)
そして苦しい、苦しい、苦しい、苦しい
そして光が見え始める(だから文句を言っていないで、もう一度がんばって)
君の目の輝きが見えた(誰も君を苦しめようとしていない)
君はただ僕の無防備な姿をみたいだけ(彼らはただ空気を入れ替えようとしているだけなのに君は)
だから息を止める、息を止める、息を止める
息を止める、息を止める
息を止める、息を止める
息を止める、息を止める
<Syco訳>
鬱になるのは人間の特権だと思って、さあ明日も頑張ろう!!
