言語とリズムについて浅~く考えてみた

音楽好きが必ずしも踊るのが好きとは限らない。 ライブに行っても、直立不動で真剣に聴いている人をたくさん見る。 私はというと踊るのが大好きだ。 耳だけでは飽き足らず踊らずにはいられない。 だから座席のあるコンサートはほとんど行かない。

若いときはよく踊りに行っていた。 あのころは「クラブ」じゃなくて「ディスコ」だった。 でも私の時代はサタデーナイトフィーバーほど古くはないよ。 ビリー・ジーンとかブルー・マンディーとかで踊っていた。 

90年にダンスホールレゲエが出てきたころ、あぁ、こんなリズムで踊れたら楽しいだろうなぁ、なんて思ったけど、もうクラブにいく年齢は過ぎていたので諦めた。 そもそも当時住んでいたデトロイト周辺のクラブはデトロイトテクノ一色だったからダンスホールレゲエのDJがいるクラブがあったかどうかもわからない。 

のれる曲とのれない曲は人によって違うだろうけど、私にとってはダンスホールレゲエが究極のダンスリズムのような気がした。 シャギー、シャインヘッド、ビーニーマン、エレファントマン...、 アメリカのラップやヒップホップはあまり聴かないのにどうしてダンスホールレゲエにこんなに惹かれるのか?  決定的に違うのはジャマイカのパトワ語とそのアクセントだ。 

たとえばこの"Pon De River Pon De Bank"というタイトル。 曲を聴くと ♪ポンデリバ、ポンデバン♪ に聞こえる。 標準英語に直すと "upon the river, upon the bank" でこれを米国アクセントで声に出していると「ザリバァー」や「ザベーンク」が間延びしてしまってビートにのらない。

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この曲のPon De River Pon De Bankの意味は、ビデオでみんなが踊っている、片足を上げて川を飛び越えるようなダンスの動きの名前らしい。 「ポンデリバで踊ろうぜ」、みたいな歌詞であまり深い意味はない。

 

スペイン語を初めてからよくレゲトンを聴くようになった。 レゲトンはプエルトリコ人がお隣ジャマイカのダンスホールレゲエをスペイン語で歌い始めたのが始まりだ。 スペイン語はパトワと響きが似てる。 英語のような長母音が無いからかもしれない。 でもスペイン語はパトワよりもエモーショナルなのよ。 ロマンス語のパワーかしら。  

キューバ人のオスマニ・ガルシアの「タクシー」。 オリジナルはチャカ・デマスのレゲエだけど、レゲトンの方がじわじわ攻めてくる。

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そして、たどり着いたのはデンボウのリズム。 英語圏には無いバイブだな。  デンボウはドミニカ共和国から始まったんだって。 カリブのアフロビートとラテンのリズムとエレクトロニカが合わさって最強になってる。

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パトワやスペイン語の響きはパーカッションで英語はどちらかと言えば弦楽器の響きだと思う。

じゃぁ日本語は? 響きはスペイン語と似ているけど、ただね、スペイン語は単語のアクセントの位置がほぼ統一しているのね。 大抵最後から2番目の音節に来る。 だから普通に話していてもリズミカルに聞こえる。 でも日本語はそういう決まりがないからリズムが生まれない。 だから日本語はラップやヒップホップやレゲエには向かないと思うな。 って、日本のポップやロックについて何も知らないおまえが言うな、って話ですが。

スペイン語の勉強は意外と続いている

今年の初めから通い始めたスペイン語のクラスはまだ続けている。 

講師はその日の気分と生徒のリクエストでトピックを決めて進めている。 こんなんで大丈夫かなという不安もあるけど、カウンティ(群)が運営する学校なので受講費も安いし、宿題もテストもないから私の日常生活への負担も少ないので、ま、いいかって感じ。 このユルさが続けられる秘訣かもしれないし。 

アメリカ人と一緒に勉強しているので、トピックはいつも英語との違いが焦点となる。私の感覚では、日本語とスペイン語の違いを100%と考えると英語は70%スペイン語と一緒なんだよね。 単語の4つに1つぐらいは英語を知っていれば大体の意味が予想できるのよ。

たとえばこの文:

La artista famosa estudió en la universidad de arte. (スペイン語)

The famous artist studied in the university of art.(英語)

ほぼ一緒でしょ? もちろん発音は全然違うけどスペイン語はローマ字読みをすればいいので日本人にとっては英語より簡単かもしれない。 

 

英語には無いコンセプトとしては女性名詞、男性名詞がある。 ジェンダーに伴い冠詞や形容詞まで変化する。 でもこれは難しいというよりむしろ私が好きなところかも。 語尾がそろうので響きがきれいで誰でもポエマーになれる。

Ella es la chica bonita. (彼女はかわいい子だ) 

Mi abuelo es un músico talentoso. (私の祖父は才能のある音楽家だ)

 

一番難しいと感じるのはやっぱり動詞の活用だわ。 英語の動詞の活用は三単現のSぐらいだけど、スペイン語はい一人称、二人称、三人称、更にそれがそれぞれ複数、単数とあって、動詞は6パターンに活用する。 そこに時制も加わると、いったい何パターンあるのやら? 

でもいい点もあるのよ。動詞さえ見れば主語が「私」か「あなた」か「私たち」か分かる。 だから主語を省略してよい。 英語は必ず主語を述べなきゃいけない。主語が曖昧でも"It is cold "など、形式上の主語をつけるお堅~い言語だ。 でもスペイン語で"It is cold "は  ”Hace frió ”で、日本語の「寒い」と同じで主語などいらんのだ。

この先スペイン語を何かに役立てる予定は全くないけれど、言語を比較するのって面白いね。 英語はくどいし長い。 スペインと日本語は余計なことは省いて短い。 これって、「言わなきゃわからない」って文化と、「言わなくてもわかる」という文化の違いなのかも。

またいろいろ気づいたことがあったらメモしていこうと思う。

 

 

スペイン語で歌われる曲で一番有名なのはたぶんサンタナの「オエコモバ」かロスロボス(オリジナルはリッチー・バレンス)の「ラバンバ」じゃないかと思う。

これは「音楽が世界を変える(Playing for Change)」というプロジェクトで世界中の有名無名なミュージシャンが繋がって一つの曲を演奏するというもの。

”Oye Come Va ”とは 調子はどうだい? みたいな挨拶の言葉で邦題「僕のリズムをきいとくれ」のような指示口調じゃないと思う。

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”La Bamba” は「バンバ」という伝統的なメキシコの歌の名前だそうだ。 ばんばひろふみの苗字じゃないと思う。

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このプロジェクトのサイトに行くと、世界中のミュージシャンのコラボしたいろいろな曲が聴けます。 けっこう感動する曲がたくさん。

https://playingforchange.com/

 

 

なになにファーストとか言っていられない

先週ジャマイカにハリケーンが襲来した。 ジャマイカ史上最大のハリケーンで、人口300万人の半数の人が被災している。 死者は今のところ28人だというけど、国のほぼ全域が停電したというし、海辺の町や村は崩壊した。

レゲエやスカを40年以上も愛してきた私としては、とっても心が痛むのだけれど私に出来ることと言えば寄付しかない。 しかし考える。 ジャマイカのお隣のハイチだってこのハリケーンで多大な被害を受けている。 ジャマイカが念頭に来るのは私がレゲエファンだからだ。 ハイチの音楽は知らないから寄付はジャマイカにしようっておかしい。  ハイチの方が経済的に窮地に至っている国だし、私の音楽志向よりもどれだけ救済が必要かを秤にするべきだ。

今、アメリカでも食えなくて困っている人がいるんだよね。 それは災害でも戦争のせいでもなく、アメリカ政府が閉鎖したせいで月給をもらっていない国家公務員だ。 タダ働きをしながらフードバンクで食料を確保し食いつないでいる。 アメリカの空港の管制官でさえ無給で出勤を強制されている。 

更に今月からアメリカ政府は国家予算の立て直しのため(金持ちの税率を低くするため)に、低所得者に食料購入の援助をするSMAPという援助金システムを廃止する。 4千万人のアメリカ国民がこの恩恵を受けていたがこれが無くなるとこの人たちは飢えるのだ。すでに私は税金を払っているのに、アメリカのフードバンクに寄付をするべきか。 

それならスーダンはどうなのよ。内乱で一度に460人もの民間人が殺害されたというニュースを聞いた。パレスチナは? ウクライナは? 

よし、これはAIに聞くしかない。「$50をどこに寄付したらいいでしょうか?」

AI:「自分が一番関心のある活動をしている慈善団体に寄付しましょう」...主観で決めたくないから聞いてるんじゃい、ゴルァ。

政府機関の閉鎖、物価高、社会保障の廃止でアメリカ国民が苦しんでいるにもかかわらず、独裁者オレンジが今一番力を入れているのはホワイトハウスのリノベーションだ。  ホワイトハウスの歴史あるイーストウィングを議会の許可も得ずに全てぶち壊した。 巨大な舞踏会ホールを建てるために。週末には自分のSNSにトイレの内装を全部大理石にかえたと、30枚もの写真を投稿した。ホワイトハウスを自分の宮殿に変えるつもりだ。

舞踏会ホールの2.5憶ドルという予算は税金でなく寄付から賄うからいいだろ、っていうのがオレンジの言い分だ。 その寄付のリストを見るとアマゾン、マイクロソフト、メタ、アップル、グーグル…、そうやって大企業はますます、悪魔から恩恵を被ろうとしているのね。 そしてビリオネアとの格差がますます広がる。

先日ビリー・アイリッシュはとある授賞式の壇上で言った。 ビリオネアの人はどうしてビリオネアでいるの? 皆さん、お金を分けましょうよ、と。 会場にはザッカーバーグもいたらしい。 ビリーちゃん、当たり前のことだけど、よく言ってくれました。 

結局私のお金はUNICEFにいきました。 子供の方が成人より優先順位が高いのはは確かだからね。 それ以外はアメリカファーストとか日本人ファーストとかも含めて私にはわからない。

 

メンバーが全員小中学生のレゲエバンドのミュージカル・ユース。 イギリスのジャマイカ移民の子供達だ。 めちゃくちゃ懐かしいね。 

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Youth of Today / Musical Youth (1982)

”デニス、アップルパイを取って逃げるな!”

若者のせいにしないで
僕らを利用しないで
本当はわかっているだろう
だから若者のせいにしないで

今の若者には言いたいことがたくさんある
これは僕らの人生、僕らの未来
僕らは今を生きているんだから、若者を責めないで
どう思う?

母さんは自転車を買いに町へ行った
その値段を観て自分の目を疑った
最後の審判の日が来たのかと 時計がボン
神様、審判の日がきたのか ボンボンボン
今の若者、今の若者
僕らは押しつぶされそう
僕らは押しつぶされそう
彼は何て言った?

ドラムセットを買いにダウンタウンへ行ったんだ
でも値段を見て
ひっくり返ったよ、これは最後の審判の日が来たのかと
神様、これは審判の日だ、しっかりしろ
今の若者、今の若者
僕らは押しつぶされそう
僕らは押しつぶされそう
彼は何て言ったんだ?

キーボードを買いに街へ行った
その値段に思わず大声で叫んでしまったよ
これは最後の審判の日か、スラン ボン ビドリ ボン
これは審判の日か、ミラースタイル
今の若者、今の若者
僕らは押しつぶされそう
僕らは押しつぶされそう

<Syco訳>

 

ミュージカルユースは皮肉にも、音楽業界の大人に搾取されメンバーは一文無しになり、精神を病んで5人のうち二人は薬物乱用で亡くなっているんだよね。 でもいちばんチビッ子だったマイケルとボーカルのデニスは頑張ってまだ音楽をやっているみたいだ。

 

本国ジャマイカからもう一曲。

あま~い声と軽いノリで厳しい現実を歌うシュガー。

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Rough Ole Life / Sugar Minott (1980)

バビロン、お前は俺の暮らしをぶっ壊す
バビロン、お前は俺の暮らしをぶっ壊す
バビロン、お前は俺の暮らしをぶっ壊す
バビロン、お前は俺の暮らしをぶっ壊す

そうさ、俺たちは厳しい現実を生きている
飢餓や試練が善良な人々を抑え込む
辛い時代だ俺たちは荒々しい人生を送っている、人生、人生
干上がって空になった井戸のように
地上の地獄で苦戦する


日を追うごとに辛さは増すが
それでも俺はジャアの王国を夢見てる
胸に宿る愛を思い描くのは簡単だ
でもこの現実は俺にそぐわない

行く先に正義があるのか?
なぜこんなに苦しいのか?

歌おう、ああ、俺たちは厳しい現実を生きている
飢餓や試練が善良な人々を抑え込む

バビロン、お前は俺の暮らしをぶっ壊す
バビロン、お前は俺の暮らしをぶっ壊す
バビロン、お前は俺の暮らしをぶっ壊す
バビロン、お前は俺の暮らしをぶっ壊す

 

毎晩ジャアに祈る
神よ、この先ずっと俺を見守り導いてくれ、うーん
そして神よ、俺たちみんなを導いてくれ
初めから終わりまで
なぜならあらゆるものの中に邪悪が宿るから
ああ、神よ、神よ、

ああ、俺たちは厳しい現実を生きている

<Syco訳>

 

この時世で再びパンクの血が騒ぐ

独裁者オレンジが訪日したけど、日本によるゴマすり凄いですねー。

オレンジが9月に訪英したときは、数十人の少女を性奴隷にして有罪となったエプスタインとのツーショットがウィンザー城の城壁にでっかく投影されたり、大規模な反トランプデモがロンドンで起きてたけど、日本ではそういうことは一切ないのね。

高市首相が「トランプをノーベル平和賞に推薦する」って耳を疑ったよ。 本気で言っているのか、それとも単細胞のオレンジのことをよくわかっていて、「こいつはゴマすっておけば喜ぶから、口先だけでもとにかく褒めとけ」と思っているのかな。 

私としては後者であって欲しい。 だって自分を支持しない国民に軍を出動させて取り締まっている独裁者だぜ。 そして南米から来る船を無差別にミサイルぶっ放して乗員を皆殺しにしている殺人鬼だぜ。 常識がある人なら絶対にそんな奴がノーベル平和賞の対象だなんて思わんよ。 イスラエルとパレスチナの問題だって、オレンジはただ人質交換させただけで攻撃はまだ続いているし。 あ、日本はパレスチナを国家承認していないんだっけ…。 どこまでアメリカ政府の犬なんかい?

アメリカのニュースでは高市氏はオレンジに金箔のゴルフボールをプレゼントしたと伝えている。 金の玉かい? Suck My balls!

 

このめちゃくちゃなアメリカにやっぱりパンクバンドが活を入れてくれなきゃ。 ボストンが誇るアイリッシュパンクバンド、ドロップキック・マーフィーズがオレンジをディスる!

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First Class Loser / Dropkick Murphys (2017)

イライラさせられる家族や友人がいるだろう?
不快で失礼な怠け者が周りにいるだろう?
高速で一気に6車線も横断するような男だ
いつも手当を要求してくる邪悪な無職男だ

見捨てることも決別することもできない、逃れられない
そいつはいじめっ子で、嫌な奴で、おまえが嫌うもの全てだ
でも、うるさ過ぎて無視することが不可能に近い
そいつが家に来たら、電気を消して布団にもぐる

だってあいつは一等級のルーザーだ
一等級のルーザーだ
一等級のルーザーだ、誰もそれを否定できない
一等級のルーザーだ
俺は嫌いだ

他人の事情や提案には鈍感で
空気も読めず、長居ばかりする
誰の友達にもなれない、そう、あらゆる人種から嫌われている
自分のことしか考えていない、障害者用スペースに車を止める

だってあいつは一等級のルーザーだ
一等級のルーザーだ
一等級のルーザーだ、誰もそれを否定できない
一等級のルーザーだ
俺は嫌いだ

誰だってそういうところはあるけれど、それを常にやっているわけじゃない
俺だって面倒な奴かもしれないが、完全に最低な男じゃない
あいつを殴りたい、噛みつきたい、やっつけたい、殴って倒れるのを見たい
あいつをぶちのめしたい、蹴り飛ばしたい、引っ掻きたい、棍棒で叩き潰したい、金玉を叩き潰したい!

だってあいつは一等級のルーザーだ
一等級のルーザーだ
一等級のルーザーだ、誰もそれを否定できない
一等級のルーザーだ
俺は嫌いだ
一等級のルーザーだ 俺は叫びたくなる
一等級のルーザーだ
あいつが死んでも惜しまない

<Syco訳>

 

もう一曲、アメリカが誇るパンクのゴッドファーザー。 「おまえの犬になりたい」これはゴマすり上手な高市さんに捧げます。 78歳のイギーは一周まわって身体が再びパンクになっているわ。

 

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I Wanna be you Dag / Iggy Pop (1969)

もう、めちゃくちゃだ、ここにいてほしい
おれの部屋に、おまえがいてほしい
今、俺たちは顔を向かい合わせ
そしておれの好きなこの場所に横たわる
そして今、おまえの犬になりたい
そして今、おまえの犬になりたい
そして今、おまえの犬になりたい
さあ、さあ…

さあ、目をと閉じる準備はできた
さぁ、心を閉じる準備はできた
さぁ、お前の手を感じる準備はできた
そして熱い砂の上で俺は心を失う
そして今、おまえの犬になりたい
そして今、おまえの犬になりたい
そして今、おまえの犬になりたい…

さあ、さあ

<Syco訳>

 

ゲイリー・ニューマンをまた観たよ

またゲイリー・ニューマンが近くのライブハウスに来た。 先回観たときから3年も経ったのね。 私もまだ元気に生きているという証に観に行ったわよ。

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先回のライブを観てから80年代以降のゲイリー・ニューマンのアルバムも聴いてみたのよ。  ニューウェイビーなシンセポップからハードコアなインダストリアルまで、彼はソロのスタジオアルバムを23枚も出している。  中でも1982年の”I, assasin”がめちゃくちゃファンキーで凄いことを発見した。  残念ながら、ライブではこのアルバムからは一曲もやらなかった。 ダンスポップとも言えそうなこのアルバムは彼にとっては黒歴史かもしれないね。 アルバムを通して聞こえるフレットレスベースがたまらなく良いのだが。 もしやベースはミック・カーン?と思ったけど、ピノ・パラディーノという、別の有名なスタジオミュージシャンだった。 ミック・カーンはその前のアルバム”Dance”で参加していた。

ライブセットは先回に比べて、ますますインダストリアル色が濃くなった気がした。 暗く重く、音量は最大で、いつの間にか私のノリがヘッドバンギングになってたよ。

ギタリストとベーシストの双子のようなスキンヘッズが、ニューマンの両脇で悪魔のような動きをして魔界の扉を開き、ゴス中年を盛り上げていた。 ステージやメイクはゲイリー・ニューマンを含め完全にゴスなんだよね。  ゲイリー・ニューマンの音楽はゴスではないけど、演出の効いたステージパフォーマンスは楽しい。 Si-Fiミュージカルを作れそうって思った。

キーボード奏者もスキンで、髪がフサフサなのはゲイリーだけ。

 

唯一歌ってくれたチューブウェイ・アーミーの曲は”Down in the Parkでした。

2022年のアリーナライブ

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Down in the Park / Tubeway Army (1979)

マッハマンとマシーンが出会う公園で
「計算による殺人」ゲームをする
「5」という友達と公園で

交通事故に遭った、それとも戦争だったのか?
しかし以前の自分ではないことは確かだ
「そこにいたよ」みたいな悪意のない嘘

ゾムゾムズにおいでよ、食事ができる
そこは一日で建てられたようだ
人間たちが逃げようとするのを見ることができる

ああ、見て、レイプマシンがある!
彼が目を逸らすなら、僕は外に出る
あれは目を疑うようなことをする

「死だ、死だ、死だ」という掛け声が
朝日が涙を流すまで響き渡る公園で
僕の友達と公園で

僕らは恋人でも、ロマンチストでもない。
僕らはあなたに仕えるためにここにいる。
顔は変わっても、言葉は変わらない…

<Syco訳>

 

この歌詞はゲイリー・ニューマンが10代の時に書いたSF小説が基になっているらしい。 小説も書けるなら、Si-Fiミュージカルを作ってほしいね。

『ノーキングス・プロテスト』のデモに行ったよ

先週の土曜日に、『この国に王はいらない』というデモがあった。 トランプ政権に抗議するデモは今年に入ってから何度も開催されている。 選挙権を持たない私に出来ることのひとつはデモに参加する、とはわかっているが陰キャなので皆と一緒に何かをやるというのが苦手なのよ。 でも天気も良かったし、まぁ眺めるだけでも楽しいかも、と勇気を出して行くことにしたよ。

このデモでは今年最多の2700もの都市や町村で開かれた。 私が行ったのはノースキャロライナの州都ラーレイのデモで、会場は広場でも公園でもなく、道路の歩道に集合だった。 1、2マイルに渡って道路の両脇にプラカードを持って立つ。 そして走る車の反応を得るというスタイル。 

デモの数日前から、トランプや共和党議長のマイケル・ジョンソンは『デモに行くのは反アメリカ、極左テロリスト、マルキシストだ。 アメリカをヘイトするデモだ』と警告していた。 しかし、その警告に反発するかのように、この日の全国各地で総勢7百万人参加したデモはアメリカ愛に溢れた平和なデモだった。 警官との衝突も抗議者の逮捕もなかった。

7百万人ていったら国民の2.3%だよ。 アメリカの50人に1人はデモに参加したんだ。 何らかの理由で参加したくてもできなかった人もいるだろうし、トランプ政権に不満を持つアメリカ人は確実に多数派になっていると思う。

私の行ったラーレイのデモはおよそ2000人が参加したらしい。 コスプレイヤーが踊っていたり犬を連れてきたり、雰囲気はゆる~く白人の高齢者が多かった。 

メガフォンを持った男の人が「トランプのチンコは小さい!、トランプのチンコは小さい!」と連呼していて、それを女の人が「そういう事実は、デモとは関係ないのでやめた方がいい」とたしなめていたのがウケた。 リベラルはどこにいてもポリコレ違反を見張るのよ。

しかし、ポリコレなんて糞くらえの似非キングは、この日のノーキングス・プロテストの返事として、自分のSNSにAI生成動画を投稿した。 その動画は王冠を乗せた自分が戦闘機に乗って上空からデモをするアメリカ国民の頭上にウンコをまき散らすという稚拙な代物だった。  共和党議長ジョンソンがこのビデオについて記者に聞かれて、「あれは大統領による風刺動画です」と答えていた…、風刺とは遠回しに皮肉ることだろ、小学生にしかウケないウンコネタが風刺と言えるかよ。

この不快なビデオを観たい人はここ↓↓ (副大統領ヴァンスが投稿したバカ殿に敬礼するビデオが続きます)↓↓

https://youtu.be/nWHDKDwnJZs?si=oEL6BBty8Te4r_Ur

これがこの国のトップの頭の中よ。 こんなアホと世界の大統領や首相は対談しなきゃいけないのよ。 そして国民はこいつの独裁下で生きなきゃいけないのよ。勘弁してくれよ。 プリ~ズ!!

 

デモに私の大好きなスーパーグローバーもいたよ 💛

 

最後にプロテストソングのこの一曲。テリー・ホールが無くなる一年前のレコーディングだ。 最後まで反骨精神だったね、テリー💛。 

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Freedom Highway / The Specials (2001)

自由への道を行進だ
今日も毎日行進だ
自由への道を行進だ
今日も毎日行進だ
覚悟を決めた、もう振り返らない
覚悟を決めた、もう振り返らない

ただ一つだけ
友よ、理解できない
なぜすべての人間が自由であるべきと
信じない人がいるのか

多くの人々が
混乱の中生きている
この先何が起こるのだろうと
不安を感じながら
だからこそ、私たちは

自由への道を行進だ
今日も毎日行進だ
自由への道を行進だ
今日も毎日行進だ
覚悟を決めた、もう振り返らない
覚悟を決めた、もう振り返らない

そうさ、平和が欲しい
もし平和が見つかるなら 
私たちは自由への道を行進する
そして私は振り返らない 

自由への道を行進だ
今日も毎日行進だ
自由への道を行進だ
今日も毎日行進だ
覚悟を決めた、もう振り返らない
覚悟を決めた、もう振り返らない

自由への道を行進し続けよう

<Syco訳>

 

果てしなく腐っていくこの国の記録 ③

先週独裁者オレンジは世界中に駐屯する軍の幹部全員を緊急で招集し演説をかました。 自分はいかに素晴らしい大統領かということを台本も無しにだらだらとつぶやいて、軍部の貴重な時間を無駄にした。 しかしその中で恐ろしい宣言があった。 オレンジは「敵は外国ではなくアメリカ国内にいる」と断言したのだ。 そしてそれは海外の敵より恐ろしい、なぜなら軍服を着ずに我々の中に潜んでいるからだ、米軍はまず彼らと戦って訓練をしようではないか、と言ったのだ。

今年になってすでにカリフォルニアとワシントンDCには軍を派遣している。 そして次はシカゴとポートランドにターゲットを向けている。 全て前回の選挙で民主党がリードした州だ。 独裁者オレンジはポートランドは内乱が起きていると言うが、ポートランドと言えばレイドバックした平和的な人が住む町で有名だ。 内乱なんて聞いたことが無いぜ。 全てオレンジの脳内だけで起こっている。 頭のおかしな独裁者が自国民に銃を向けようとしている。

シカゴではラテン系が徹底攻撃されている。 ただラテン系というだけで。 今まではレイシャルプロファイリング(人種によって捜査の対象にしたりすること)は違法だったけど、肌の色、話している言語、職業によってICE(移民捜査員)は捜査してもいいという法的許可が米国の最高裁判所で承認された。 だから公然とやっているのだ。

あのばかげた演説翌日、真夜中に南シカゴの低所得者が住んでいるアパートに300人ものICEが襲撃した。 アパートの住民全員が逮捕され留置された後、アメリカ市民と証明された人達は釈放された。 この襲撃の様子は軍がテロリストを逮捕するのと同じ。アパートの屋上に軍のヘリコプターが降りてきてマスク姿で狙撃中を持った兵士が降りてきて窓や戸をたたき割り、子供や老人まで引きずり出して手錠をかけられ連行される。 シカゴって、つい先月私が旅行を楽しんできた場所じゃないの。 国が自ら自国の町を戦地に変えてしまう。

そして今のアメリカ政府の閉鎖だ。 今日で閉鎖して8日目だ。 原因は主に民主党と共和党がアメリカの社会保障制度のことで同意できないからだ。 オレンジ悪魔が率いる共和党は「不法移民がメディケイド(低所得者用の医療保険保障制度)を乱用している、だからアメリカ市民に手当が回らないのだ」とウソをまき散らす。 全くのプロパガンダだ。 アメリカ在住権を証明しないとメディケイドを申請できないのにどうやって不法移民が乱用できるんだよ? デマがエスカレートして、不法移民がメディケイドを使って性変換手術をしてると言い出す共和党議員まで出てきている始末だ。

これってさ、最近日本のSNSで見かけるコメントと似てるなって思った。 「外国人に生活保護が使われていて日本人に回らない」というようなやつ。 自分の頭で事実を確かめて判断する能力がプロパガンダによって奪われてしまっている人達がいるんだ。 私は日本に住んでないのでどうこう言える身分じゃないが、このままだと移民で溢れて欧米の二の舞になるという恐怖を日本人が感じているとしたら、移民狩りがすでに始まっている米国に住んでいる者として言いたい。

移民排斥は弱い者いじめなんだよ。 弱い者いじめをする奴は常にターゲットを必要とする。 だから移民の次は、浮浪者、障がい者、貧困者と排除していくんだよ。悪魔のオレンジ政権はすでにメディケイドやフードバンクの削減を遂行し、それをあたかも移民のせいに見せかけて弱者を切り捨てようとしている。 サイコパスの支配力を満足させるのと極わずかの金持ちの税率を下げるために。 

 

ベン・ハーパーとチャーリー・マッスルホワイトのハーモニカで

 『こんな風に終わらせられない』

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We Can't End This Way / Ben Harper and Charlie Musselwhite (2013)

街角に男が立って
助けを乞う
その横を通り過ぎる男がいる
その男は富に溢れている
失望して魂が壊れるのを
理解できない者がいるだろうか

失望が魂を壊すのを理解できないのか

こんな風に終わらせられない
こんな風に終わらせられない
こんな風に終わらせられない
こんな風に終わらせられない

こんな風に終わらせるわけにはいかない

絶えず蔑む眼差しは
決して癒えない傷となることを
彼がいったい何をしたというのか
俺がいったい何をしたというのか
思い出すのは簡単だ
しかし忘れるのはもっと簡単だ
人生には思いがけない邪魔が入る

こんな風に終わらせられない
こんな風に終わらせられない
こんな風に終わらせられない
こんな風に終わらせられない

こんな風に終わらせるわけにはいかない

俺は自分の道を行きたくない
もしお前も俺の道を行かないなら
それはつまり
俺がお前は道を行くということ
先を行くか、付いて行くか
乞うか、盗むか、借りるか
もう一日だけ

こんな風に終わらせられない
こんな風に終わらせられない
こんな風に終わらせられない
こんな風に終わらせられない

こんな風に終わらせるわけにはいかない

<Syco訳>