スティーブ・ハーレイ (1951-2024)

 

カール・ウォリンジャーの訃報をブログに書いている時に、BBCニュースから新たに悲しい訃報が入ってきた。 今度はスティーブ・ハーレイだ。 3月17日に73歳で亡くなった。 

私がコックニーレベルを聴いていたのはまだパンクとかインディとかにハマる前で、ボウイ、Tレックス、ロキシー・ミュージックなどのグラム系列で耳に入れたんだと思う。 レコードはデビューから3枚目まで買っていた。 クイーンやケイト・ブッシュみたいに、ちょっとファンタジックで少女漫画チックな世界観が好きだった。

コックニー・レベルはスティーブ・ハーレイが22の時に始めたバンドで、5年後には終わっている。 それからあまりぱっとせず、ソロアルバムを出し続け、バンドのリユニオンライブをやったり、ミュージカルをしたり、人に曲を提供したり、地味ながらも音楽活動は続けた。 

1975年に英国ヒットチャート1位となった「メイク・ミー・スマイル」や、お菓子のCMソングとして使われた「Mr.ソフト」の印税で、まぁまぁの収入はあったと思う。 去年観たベン・キングズレー主演のダリの映画にも「メイク・ミー・スマイル」が使われていたし、今でもこの曲はよくメディアで流れる。 「メイク・ミー・スマイル」の一発屋とも言われている。 20代でピークを過ぎてしまったアーチストはその後の長い人生は厳しかったと思う。

2020年のインタビューで、スティーブ・ハーレイは音楽のストリーミングについて、怒りを訴えている。 

ファンに、「新作を聴きましたよ、素晴らしいですね」と言われ、「そうですか、CDを買いましたか? それともレコードですか?」と聞くと、「いいえ、スポティファイでストリーミングですよ。」と答えられ… 

なんと、スティーブ・ハーレイはその時までストリーミングの存在を知らず、家に帰って調べたらしい。 そして、一曲一回流れると、0.004ポンドしか入らないことを知ったという。インタビュアーは「いいえ、0.0004ポンドかそれ以下ですよ…」と訂正していた。 

スティーブはスポティファイに流れるくらいなら、破産して死んだ方がマシ! と断言する。 次のアルバムを楽しみにしてますとよく言われるけど、誰も買わないのなら作れないね! と言い切っていた。

私はストリーミングはしないけど、初期の名盤だけを揃えて満足し一生それで楽しんでいるからアーチストに還元するという点ではあまり変わらない。 後のアルバムに興味が湧かなければ、追い続けることはできない。

それでもアーチストは、全盛期のあともキャリアは続き創作し続けなきゃいけないんだ。 新しいファンも作って古いアルバムも売らなきゃいけない。 でも若い世代はストリーミングしかしない。 どうすりゃいいのさ? この先ミュージシャンを志す人はいなくなるよ。

などといろいろ考えて暗くなりました…、メイク・ミー・スマイル!☺ R.I.P.スティーブ・ハーレイ

 

時計仕掛けのオレンジ風なスティーブ・ハーレイは余裕のガム噛み噛みのパフォーマンス↓↓

youtu.be

Make me Smile (1975)

君はやってしまったね、きまりもすべて破ってさ
そして反逆者を床に引きずり下ろした
ゲームを台無しにした、君がなんと言おうと
金のためだろう、詰まらないね

青い、青い目をしてさ
どうしてそんなに嘘がつけるの?

僕に会いに来て 笑わせてくれよ
でなきゃ、好きにしてくれよ 止めはしないよ

何も残っていない、すべてどこかに消えていった
たぶん君はしばらく居るだろうけど
ただの試練だ、ゲームでしかない
勝っても負けても 笑えない

逆らえ、逆らえ
自分から隠れるんだ、ああ

僕に会いに来て 笑わせてくれよ
でなきゃ、好きにしてくれよ 止めはしないよ

もう何もない 君がすべてを奪っていった
母なる大地の僕の信じるもの全て
僕のあらゆる信仰を無視できるの?
信仰が何かとかその価値が何かとか知っているから?

どこかに行けばどう
努力するからなんて言わないでくれ oh oh oh

僕に会いに来て 笑わせてくれよ
でなきゃ、好きにしてくれよ 止めはしないよ

<syco訳>

 

私の一番好きな曲はこれです。 サイコな格式 (邦題は『さかしま』???)

youtube

the Psychomodo (1974)

俺は正気を失っていた、血迷っていた
一日に脳細胞を百万個失っていた
幻滅させられて、自殺の道を歩んでいた
あらゆる形のあらゆる物を見た 「1984」の最悪の状態だった
カジモドが俺の門の前に立っていた

あぁ、彼は不安で疲れ果てていた
あぁ、彼は見るからに打ちのめされていた
彼は十分に若かったし
吊るし上げるにも十分だった OH!

俺は自分の碑文は見たし、天国にも地獄にも行った
聖ペテロを紹介され、俺たちはちょっとおしゃべりもした
彼に怒りを感じたので、俺は引き返すことにした
でもデスデモーナと俺は木の下で最高の時を過ごした
彼女が俺の手相を占って、それにショックを受けた
俺たちは狼狽えて、恐怖で叫んだ

あぁ、彼女は不安で疲れ果てていた
あぁ、彼女は見るからに打ちのめされていた
彼女は十分に若かったし
吊るし上げるにも十分で、破壊された

俺は歌を書いてきたし、俺たちみんなでそれをうたってきた
居場所を求めて彷徨う軽度のスキゾフレニアのよう!
窓から全部放り投げろ、最初からやり直しだ
あぁ、俺のハートに飛び込んでくれ、俺を粉々にしろ
閉所恐怖症になりたい 憧れる ハハ…
俺はかなり混乱している、死にたい、死にたい、死にたい

あぁ、彼女は不安で疲れ果てていた
あぁ、彼女は見るからに打ちのめされていた
彼女は十分に若かったし
吊るし上げるにも十分だった、Oh!

<syco訳>

 

今持っているのはベスト盤のCDだけ。 アルバムはまだ実家にあるのかなぁ。

" the Human Menageries"、 "the Psychomodo"、"the Best Years of our Lives"をCDでもう一度購入するには遅すぎたよ、スティーブ…。