シネイド・オコナーが亡くなった

シネイド・オコナーの17歳の息子が自死したあと、彼女は自殺監視下にあるということは聞いていた。 だから、ネットでシネイドの見出しを観た時、あぁ、やってしまった…て思った。

私は1992年にアメリカで、あのシネイドの「法皇の写真破り捨て事件」は生放送で観ていた。 土曜の深夜、毎週欠かさず見ている人気コメディ番組の真っ最中だった。 シネイドはボブ・マーリーの”War”を歌った後、ポケットから一枚の写真を取り出して、「これが諸悪の根源」と言って、千切ってばら撒いた。 その時は何が起きたのかよくわからなかったけれど、次の日はどのテレビ局でも一大ニュースで報道した。 だって世界中のカトリック信者の王様を「諸悪の根源」と言い放ったんだもの。 そしてそのあと謝罪も反省もせず世の中の敵となり、キャリアは一気に下り坂となった。

離婚を4度も繰り返し、何度も自殺未遂をして、近年はイスラム教徒になりヘジャブを巻いていたシネイドについて、初期のアルバム一枚しか持っていない私が何かを語ることなんてできないし、到底理解することもできない。 

ただ、言いいたいのは、ローマ法皇の写真を破ったシネイドはカッコ良かったよ。 ロック史上に残る、一番のパンクロック的瞬間だったよ。 そしてなんといっても、シネードは美しかった。 だいだい、坊主頭は美人じゃなければ出来ないし…。

あの当時、カソリックの神父による子供たちへの性的虐待は、噂にはなっていたけどまだ法的に罰されてはいなかった。 それを堂々と言ってのけたシネイド。 そのあと、ボブ・ディランのトリビュートコンサートに出て、ステージでブーイングの嵐に遭い、シネイドはしばらく真顔で沈黙し、そして突然アカペラでボブ・マーリーの”War”を乱暴に歌い放ち、再び宣戦布告をしてステージを去る。 これもものすごくパンクでカッコ良かった。

シネイドのように不器用だけど全身全霊で生きていくアーチストに音楽産業は厳しい。 だけど私はそういうアーチストのパンク的瞬間を見て、長い物には巻かれてられないなって少し意識して、勇気をもらってきた。 本当にありがとう。シネイド。

 

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War / Bob Marley (1976)

人種の優性劣性を
維持する思想が
遂に
永久に
否定されて
葬られるまで
いたる所で戦争だ
俺は言う、戦争だ

国において
一級市民と二級市民の境が無くなるまで
肌の色の違いが瞳の色の違いよりも
意味が無くなるまで
俺は言う 戦争だ

基本的人権が
人種に関係なく
全人類に与えられるまで
戦争だ

確かな平和への夢
世界市民が国境を越えて
道徳的に司るその日が来るまで 
しかし儚い幻想を追うだけでは
達成できない
今、いたる所で戦争だ
戦争だ

そしてアンゴラで、モザンビークで、
南アフリカで、俺たち黒人を拘束する
不名誉で不幸な体制が崩壊するまで
人間以下の束縛が
解放されて
完全に破壊されるまで
そうさ、いたる所で戦争だ
俺は言う 戦争だ

東側で戦争
西側で戦争
北部で戦争
南部で戦争

戦争、戦争
戦争が始まる
その日がくるまで
アフリカ大陸は
平和を知ることはない
俺たちアフリカ人は戦う それは避けられない
そしてきっと勝つ
自信を持って言える
悪を倒す
善の勝利

悪に善が勝つ, yeah!
悪に善が勝つ
悪に善が勝つ, yeah!
悪に善が勝つ
悪に善が勝つ, yeah!

<syco訳>

 

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