私はアメリカに住んでいるけど、ブリット・ロックやブリット・ポップばかり聴いている。 購入するアルバムの7,8割は英国アーチストだ。 なんでこんなに偏っちゃうんだろうって考えるとやっぱりアクセントに魅かれる部分が大きいんだな。
初めてジェイミー・Tの曲を聞いたのは、"If you got the money"だった。 レゲエのリズムや歌詞がツボだったんだけど、やっぱりアッピー(happy)とかプリッイー(pretty)とかベッアー(better)とか、たぶんジェイミーはロンドン訛りね。 それも魂を吐き出すように歌っている。 あぁ~、こういうのに私は弱いんだ。 クラッシュのジョー・ストラマーを思わせるわ。 後から知ったんだけど、もちろんジェイミーもクラッシュのファンだった。 そして、イアンデュリーや2トーンのブリティッシュスカも好きだという。 うちの娘は私の影響でベルセバとかVUは好きだけど、パンクやスカは好きになってくれない。
私が10代で出会ったクラッシュはカッコ良くて憧れたけれど、40代でこういう粋がったパンクスに遭うと、カワイイ、こんな息子が欲しい…、と母目線になるのよ。 私は息子は居ないけどくれるとしたら、ジェイミー・Tみたいなのをお願いします…。
この曲の歌詞は以前のエントリーで訳済み↓↓
アルバムの一曲目の「新しいベースギター」はソロのアコースティックなんだけど、このビデオは激しいパンク・バージョンになっている。 どちらも良いわ。
Brand New Bass Guitar
ハンドガンを買いに行ったんだ
なぜって、一人残らず撃ち落としたいから
お前ら走って逃げた方がいいぜ
ところが俺はベースギターと呼ばれるこのひび割れたポンコツに全財産をつぎこんだんだ
さぁ、きた
低いところで音が割れる
ハロー、ベイビー
何をしたらいいかわかっている
いつも最後は自分に来る
何をしたらいいかわかってる
いつも最後は自分に来る
ドアを閉めろ
床一面に吐きまくり
ハロー、ベイビー
俺は、バーに一杯やりに行った
おふくろの車を借りてね
みんな走って逃げた方がいいぜ
だって、今俺は運転できる状態かわからないからな、アハハ
さあ、きた
低いところで音が割れる
ハロー、ベイビー
逃げろ、若造が新しいベースギターを買った
若造が新しいベースギターを買った
若造が新しいベースギターを買った…
<syco訳>
この「シーラ」という曲も心に染みるわ。 ビデオでも俳優のボブ・ホプキンズがシーラの父親役を演じてるけど、やっぱりジェイミーの歌は親目線で聴いちゃうわね。
Sheila
シーラは友達のステラと出かけた
彼氏にはウンザリしたから
シーラは言う
どの男もろくな奴じゃないと
酔っぱらって河岸をふらつきながら歩く
「ロンドン」と叫んで歩く
でもその声は届かない
レッドカーペットの上を歩いてたわけじゃないから
彼女の訛りはコックニーから、グリンゴに変わっていき
彼女が歌えば
他の女の子も一緒に歌う
そして、そこにいる男たちにシングルだと言いふらし
気まぐれに男どもを刺激する
シーラは勝手気ままで
昼間でも夜みたいに
酔っぱらって、泣きついたり
ドラッグは盗んだり、買ったり、借りたりで
喧嘩は嫌いだけど
でもやっぱり
男は所詮、男だと諦めている
ジャックはギャングを抱えていた
メリーグラムズと呼んでいた
ジャックはその中でクラッカーマンと呼ばれ
彼の人生は貧乏くじを引いてばかりだったが、
今は仲間に慕われる
そしてジャックも
ミッキーやダンと同じだった
ヘロイン中毒で
そして、リサときたらサムとの間に子供ができた
だから今はジャックは独り者さ
やったね、ジャック、乾杯だ
そうさ、あいつはふしだらな女だ
お前が好きになるような女じゃないぜ
見た目にだまされるなよ
なぜなら、あのダンスで
騙す方すら騙されたからな
ごついチンピラ男が
娘の友達
なぜかと言うと、
ツケを払ってくれるから
目を盗んで酒やパーティー
床にぶっ潰れても
自分は自由だと思ってるみたいだが
実際は柵も超えていない
危険な場所で拳銃でやられるには若過ぎる
いつも頼まれごとは断らないが
決して命令は受けつけない
気を付けろよ、悪ガキたち
若くて純潔を保つ騎士たち
洒落た服着て出掛けても、
寄ってくるのはのはオコゲばかり
安物の服のタグを付けかえて
肩に寄りかかって来る
ジャックはイイ女を期待して来たのに
ナメクジにしか思えない
俺のタグは本物だ
チャラい男ばかりなのが問題だ
ジャックの周りには
似たような奴が35人
シーラは友達のステラと出かけた
彼氏にはウンザリしたから
シーラは言う
どの男もろくな奴じゃないと
酔っぱらって河岸をふらつきながら歩く
「ロンドン」と叫んで歩く
でもその声は届かない
レッドカーペットの上を歩いてたわけじゃないから
ジョージナと言う名の女の子の話
今まで見たことがないぐらい状況はめちゃくちゃ
ストレスがマックスなのに、会えばいつも笑顔をみせてくれた
彼女が安らかに天に昇ってくれたことを祈るけど
事の始まりはアル中の親父だった
すぐに酔いつぶれて、記憶も無くなり
医者は言った
心臓はもう鼓動していないと
虐待を受け、ドラッグに溺れ
彼女はもうクタクタになる
うんざりしていった
私に何をすれっていうの
受け入れて、また頑張って、
諦めて、またがむしゃらに走って
それが現実かもしれないけど、
あんたがやれる、
決して簡単じゃないから
聞かぬ子を革のベルトで鞭うつように
彼女は虐待されていた
彼女がどこに行ったか知らないけど
自分の状況は解ってると思う
だからジョージナ、その反応する時が来た
でもおそらく実のところ
彼女は抵抗したんだと思う
涙を流しながして
叫びながら逃げたんだ
落ちていっても、誰も受け止めてくれない
ひとりぼっちでゆっくりと、薬に呑まれていく
怖くなって、泣き叫ぶ
でもわかるだろ、無駄なんだ
彼女は気を失っていく
俺は言う、 そんなのは日常茶飯事だ
悲しい話がひとつ増えただけ
救命士が、死亡時刻は10:30だと告知した
破って、蹴って、吐いてしまいそうな光景だ
<syco訳>
ジェイミーは2009年にセカンドアルバムをリリースしたあと、ぱたりと音沙汰無がなくなる。 ラリキン・ラブ、グッド・シューズ、メトロスと、当時大好きだったバンドがみんなアルバム一、二枚で終わってて、やっぱりジェイミーもか、って諦めてた。 ところがジェイミーは、5年間の沈黙の後戻ってきた。 3枚目もアルバムもめっちゃ良かった。
そしてゆっくりペースながらも、去年5枚目のアルバムが出たんだけどインタビューを読んだら、ジェイミーはこれがラストアルバムになるかも、だって。 もともとレーベルから5枚アルバムを出す契約があって、15年かかって、やっとこさ5枚出してもう音楽に疲れたって。 やっつけ仕事じゃなくて、ジェイミーは精魂かけてのレコーディングなんだ。 疲れた時は休んでいいよ、ジェイミー。 人生は長いんだ。 母はいつまでも見守ってやるからな。
もひとつ、このアルバムからのジェイミーの名曲、”Calm Down Dearest”の訳はここ ↓↓