今更だけど「Amy エイミー」を見て泣いた

エイミー・ワインハウスのドキュメンタリーはずっと前から気になっていたんだけど、私は特にファンでもないし、彼女の曲をそれほど聞いていたわけでもない。 当時のスキャンダルはいろいろ耳に入ってきたので、興味本位で見るのもなんだかな―、と思ったけど、所詮映画は興味本位で見るのがほとんどでしょ。 アーチストとドラッグやアルコールの関係は常に興味があるし、うつ病、摂食障害も気になるテーマなんだよね。 なのでやっと『AMY エイミー』(2015)を見た。

私は、勝手にエイミー・ワインハウスはユダヤ系のお嬢様だとばかり思っていたら、お父さんはタクシーの運転手、お母さんは薬剤師でワーキングクラスの出身だった。 両親はエイミーが小さい時に離婚していて、高校も中退して、17歳ぐらいからジャズクラブとかで歌っていた。 なんで勘違いしてたかというと、ユダヤ系=高学歴でお金持ちって思っちゃうの。 アメリカだと大抵そうだから。

エイミーは10代のころから、エラ・フィッツジェラルドとかビリー・ホリディなどの化石のようなジャズ・シンガーが大好きだったのね。 そして、自分もジャズ・シンガーだとわかっていた。 ヒットチャートに上るポップアーチストには興味がなかったのよ。 なのにジャズを超えて人気がでちゃってそのプレッシャーに応えられなかった。 

この映画を観て、エイミーが可哀そうで可哀そうで涙が出たよ。 同時に怒りを感じた。 特にイナゴの大群のように襲ってくるパパラッチが許せない。 それからギリギリのところにいるエイミーにもっと仕事をさせて儲けようとする大人たちも許せない。 彼女の薬物、アルコール中毒をネタにして笑うテレビやタブロイドも許せない。 ボロボロになったエイミーをいつまでもステージに立たせるマネージメントが許せない。 歌えなくなっているエイミーにブーイングを飛ばす観客も許せない。

エイミーにコカインやヘロインを教えたのはボーイフレンドのブレイクだというけれど、エイミーはこのブレイクというクズ男をほんとうにほんとうに愛していたという事実も、とっても切なくて悲しい。 

彼女が小さなクラブで歌うジャズ・シンガーのままだったら、もっともっと幸せに生きられたのかもしれない。 

最後の方でエイミーが憧れてデュエットを共にできたトニー・ベネットが言っている。 取りあえず生きることを学ぶまで、生きなきゃだめだと。 エイミーは生きることを学ぶ前に死んでしまった。 享年27歳。

 

「バレリー」はエイミーが歌ってヒットしたけど、本当はインディバンドのゴメズの曲なんだよね。 ゴメズもいいけれど、エイミーが歌うとバレリーという女性がエイミーと重なって、心に染み入ります。

 

Valerie / Amy Winhouse (2007)

そうよ、時々ひとりで出かけて
川の向こうを見渡して
いろんなことに考えを巡らし、あなたが何をしてるか考える
頭の中で思い描く

故郷に戻ってからは
私の体はボロボロ
あなたの赤毛が懐かしいし
あなたの選ぶドレスも好きだった
会いに来てくれない?
私をからかうのはもうやめて
会いに来てくれないかしら、バレリー

バレリー
バレリー
バレリー

刑務所に送られたの?
家を売って、良い弁護士を雇えた?
日焼けには気を付けてね
あなたを助けてくれるいい男がみつかるのを祈るわ
どこかでショッピングをしているの?
髪の色を変えた? 忙しい?
あの罰金を払わなくてはいけなかったの?
あなたはいつも逃げていたけど、いまだに問題をかかえてるの?

故郷に戻ってからは
私の体はボロボロ
あなたの赤毛が懐かしいし
あなたの選ぶドレスも好きだった
会いに来てくれない?
私をからかうのはもうやめて
会いに来てくれないかしら、バレリー

バレリー
バレリー
バレリー

<syco訳>

 

これを機会にエイミーのライブをYoutubeでいろいろ見ていたら、私の大好きなスペシャルズと一緒に、「ゴーストタウン」とか「モンキーマン」とか「ヘイ・リトル・リッチガール」とか歌っていたんだね~。