アジアンライヴスだってマターだよ!!

いきなり来ましたよ~。 アジアンハラスメント!

空港から電車に乗ってニューヨークのペン・ステーションの地下鉄の駅に着いたとたんの出来事。 

メトロカードを購入しようとキオスクを探してウロウロしていたら、男が近づいてきて私の面前で唾を飛ばしながら、マザーファッキンシット、ユーファッキンピースオブシット、アイヘイトユアファッキンフェイス、ドントエバーファッキンカムヒア、ファッキンシット…。と延々に続く。 何がそんなにこの男を怒らせるのか? それは私の顔らしい。 私のアジアの顔らしい!!

最初は無視してメトロカードを購入しようと思ったけど、そのクソ男は叫び続けるので、これはヤバいと思ってその場を去ることにした。 でも大きなスーツケースを引きずっていたので走ることはできない。 後ろから叫びながら「ドント・エバー・ファッキン・カム・バック…」と追ってくる感じだったけど、階段を下りたらもう付いてこなかった。 あー、怖かった。

そのクソは背の高い黒人で浮浪者風でもない。 私にちょーっ怒っていて怖いのだけど、それよりも怖かったのが、ミッドタウンの午後8時のけっこう人通りがあるのに、誰一人として見向きもしない。 何も起きてないフリしてる。 関わりたくないってことね。 もしここで私が殴られたとしても、周りの人たちは見て見ないフリをするのだろうか。 スマホで撮影してユーチューブに上げたらミリオンヒットになるような、典型的なアジアンハラスメントの光景なんだけどな。

階段を降りたところに警官が二人立っていた。 通報しようかと思ったけど、だれも見ないフリをしてたってことは、地下鉄では日常茶飯事で、通報するほどのことじゃないかもしれない。 少し前だけど、セントラルパークで白人女性が犬にリードを付けてないことで黒人の男性に注意され、その女性は過剰反応して黒人に襲われそうだと警察に電話し、その様子がユーチューブに上げられ女性のほうがものすごいバッシングを受けたことも思い出した。 私は別に身体的危害を受けたわけじゃないから騒ぐこともないのかな、それに証拠もないし警察は何もできないと思う。 

アメリカでは「ブラックライヴズ・マター」のほうが「アジアンライヴズ・マター」よりも影響力を持っている。 でも図体の大きい黒人がアジアのおばちゃんをいじめるなんて、もう絵ずらにしても完全におかしいし間違っているじゃない。 それを無視するって、みんな心のどこかでコロナの恨みをアジア人に持っているのかしら、とも思ってしまって、ちょっと悲しくなった。

「ヘイ、クソ男、黒人は生まれた時から不利な環境なんだろ、わかっているよ。 私は日本というある程度、教育や福祉や医療制度が整っている国で生まれたから、あんた比べたら恵まれてるよ。 でもね、でもね、怒る対象を間違えていたら、絶対にあんたの権利は勝ち取れないよ。」(私の心の声)

でも五日間のニューヨークの滞在でハラスメントは初日のこの一回だけだった。 変な奴やヤバい奴は山ほど地下鉄にいたけどね。 マンハッタンの地下鉄はジャングルよ。 猛獣がいたら絶対目を合わせないで静かにその場を去りましょう。

それで思い出したのが、グランドマスターフラッシュのコレ。 40年前の曲なのに、状況は全然変わってないよ。

 

the Message / Grandmaster Flash (1982)

まるでジャングル、俺はときどき
生き延びていることを不思議に思う

そこら中に、壊れたガラスが散らばり
階段で平気で立ちションし、別に何とも思わない
臭いが我慢できないし、騒音もダメだ
俺は出ていく金もないし、ここに居るしかない
部屋の前にはネズミがチョロチョロ、後ろにはゴキブリが這いまわる
通りには野球のバットを持ったジャンキー
どこか遠くに行きたいけど何処にも行けない
だって俺の車は差し押さえで持ってかれた

俺を押すな、崖っぷちに立っているから
正気を失わないよう頑張っているのだから
まるでジャングル、俺はときどき
生き延びていることを不思議に思う

窓際に立って外を眺め
そよ風ともに車が走り去るのを見る
袋を引きずる頭のおかしな女が
ゴミ箱から食べ物を漁る、以前はゲイとつるんでいた
タンゴやファンダンゴを踊るといっていた
ジルコン姫は気がふれたらしい
ピープショーでいろんな変態を覗いている
田舎に帰って友達に土産話ができるから
都会に行って贅沢をして
一人じゃ生活できなくてポン引きの世話になった

俺を押すな、崖っぷちに立っているから
正気を失わないよう頑張っているのだから
まるでジャングル、俺はときどき
生き延びていることを不思議に思う

まるでジャングル、俺はときどき
生き延びていることを不思議に思う

俺の兄貴は悪い奴でお袋のテレビを盗む
テレビの見過ぎは体に悪いと言いわけをする
お袋は昼メロを見て夜は『ダラス』が好き
シュガー・レイの試合も見ることができないって
借金取りが呼び鈴を鳴らし
俺がいない間に嫁を脅かす
最低の教育を受け、2桁のインフレ
仕事に行くにも電車に乗れない、なぜならストライキをしてるから
光るネオンのキングコングが俺の後ろに立っていても
立ち止まって振り返れない、仙腸関節やられてるから
中度の片頭痛と癌に侵された膜組織
時々感じる、狂ってしまう
ハイジャックでも犯したくなる!

俺を押すな、崖っぷちに立っているから
正気を失わないよう頑張っているのだから
まるでジャングル、俺はときどき
生き延びていることを不思議に思う

心が真っ白のまま子供が生まれ
人類の道も分からない
神はお前に微笑むが、同時に顔をしかめる
なぜならお前の行く末を神は知っているからさ
ゲットーで育ち二流の人生を送る
そしてお前の目は深く根差す憎しみを歌う
お前の遊び場やお前の住み家は
一つのでかい路地裏のよう
お前が憧れるのは賭博の胴元や
ヤクザやポン引きやディーラーの金持ち
でかい車を乗り回し札束をチラつかせる
お前はそういう奴らになりたいと願う
密売人、詐欺師、強盗、ギャンブラー
スリや盗品売り、もしくは浮浪者
お前はそれがカッコイイというけど、いや、ただのバカでしかないぜ
それで高校も中退し
無職で無能
悪党フロイドのように徘徊し
チンピラになって、その後どうなったかと言えば
8年の禁固刑を食らって
男としての人生はおしまい、ムショでカマを掘られ
次の2年はゲイの餌食となり
利用され悪用され生き地獄
そしてある日、牢屋で首を吊ったのを発見される
人生が終わったのは明らかだ
お前の冷たい死体がゆらゆらと揺れている
だけどお前の目は悲しい悲しい歌を歌っている
あぁ、なんでそんなに死に急いだのか

俺を押すな、崖っぷちに立っているから
正気を失わないよう頑張っているのだから
まるでジャングル、俺はときどき
生き延びていることを不思議に思う


まるでジャングル、俺はときどき
生き延びていることを不思議に思う

<syco訳>

 

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