中年になって出来るようになったこと


愚痴です。 聞きたくない人はスルーしてね。

 

私の住んでいるところは田舎なので、田舎にしかないもの、アウトレットモールがある。 私のワードローブは全てここから来ている。 

今日もスーパーに行ったついでにフラッと寄ったら、めっちゃ混んでいた。そうか、今日はイースターの週末でホリディだった。 忘れてた。

ある洋品店の試着室、混んでいたけど、一つ空いていたので、入って試着してたら、いきなり誰かが戸を開けようとした。

「すみません、使ってまーす」と私

「あら、ここ私が使っていたのよ、そこに私のカバンがあるでしょっ、」と言って、しつこく開けようとする。 私はシャツを脱いでいたので、ドアを押さえて

「ごめんなさい、ちょっと待ってください、今すぐ出ますから…」と言ったにもかかわらず、

「信じられない! 私のカバンがそこにあるのに!」って言って、ドアを開けようとする。

「ちょっと待ってください、今シャツを着ますから!」と私は片手でドアを押さえて、もう一方の手で慌ててシャツを着て、

「ごめんなさい、使っていたとは知りませんでした、どうぞ。」

ドアの外には白人の60歳ぐらいの中年女。 この年齢のアメリカ人にはよくいるブクブクのおデブ。

「私のカバンがあるのに、あなたわからなかったの?」

店が混んでいると、試着室に試着した後の服がたくさん置きっぱなしになっていて、そんなのに紛れてカバンなんてわかんなかった。 

「いろいろなものが置いてあったんで見えませんでした。 ごめんなさい」

そして、奥の試着室があいたので私はそこに入ったんだけど、その女は友達に、「なんか私のカバンがいじられてる感じがする」と私に聴こえるような声で話してる。 「カバンの中身をチェックした方がいいわよ」と友達。

この会話で試着室の中の私のムカつきスイッチが入ったわ。

カバンを試着室に置くことで、混んでいる試着室を専用する、そして自分で勝手に離れて店内で服を物色しに行きながら、置いておいた私物が盗まれていないか心配するバカ女。

私はカバンがあることすら気づかなかったのに、この女は私がカバンの中から何か盗もうとしたと妄想してる。 「カバンがあることも知らなかった、」と私が言ったのはウソだと、この女は思っているんだ。

私は試着室から出て、あの女を探した。そしたら、女は店の中で、まだ私が試着室を使ったことを友達に愚痴っていた。

私は女に言ってやった。

「カバンの中身は大丈夫でしたか? わたし、何か盗んでいませんでした?」 

「私が使っていた試着室なのに、カバンまでおいてあったのに、あなたは使ったのよ、信じられない!」と女はまた同じことを言う。

「だから、ごめんなさいって言ったじゃないの」と私。

あ、これじゃ中年女どうしのみっともないけんかだ。 まわりが注目し始めた。私はシャツをレジに持って行くことで、その場を去った。 女は店を出て行った。

「大丈夫ですか。」と店員は私に言う。

「私が彼女の試着室を使ってしまったらしくって、怒ったみたいなんです。 謝ったんですけどね…」

「よくあることよ、あなたは全然悪くない。 気にしないでいいわ。」ちなみに店員は黒人さん。

 

ここで人種的要素がどれくらい関わっているのかはわからない。 でも見ず知らずの他人から嫌な思いをさせられると、もしかして私がアジア人だからかな、とか、英語にアクセントがある移民だからかな、とかいつも思ってしまう。 そして、私だって、あの白人のクソデブ女、だから田舎の白人は嫌なんだ、なんてステレオタイプ化してしまう。 心の温かい田舎の白人をたくさん知っているにも拘らず。

ただ言えるのは、私も相当おばちゃん化してきたことね。 若いころは謝ってすぐその場を去ったと思う。 今じゃ、恥なんかよりも、不当に疑われていることをはっきりさせる方が大事。 あとから、何か無くなっていた、なんて店にいちゃもんつけに来たら本当に嫌だから。 年を取ることよって出来るようになることもあるって、いいかもしれない。

 

最後に窓ガラスに張り付いていた蛾と一緒に春の前庭を撮った写真を張ります。 

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春のプレイリスト <最終回> April Fools, Tell Me, Waters of March

これも春の曲の定番ですねぇ。 ちょっと斜めに構えた春の曲

🌸 April Fools / Rufus Wainwright

あぁ、なんて残念なことだろう
バレンタインにお金を全部使い果たして
椅子にどっかり腰を下ろして
『オレはすっかりプリンスの気分』なんて言っている
でも、人生なんて電車と同じ
2月から毎日走り続け
4月1日で止まるのさ

愛を信じるのなら
それが正しいことのようだけど
そのうち変な臭いがしてきて
トンカチで一発殴られるまでの間だけのこと

ハンサムなギリシャ彫刻のような男の子が
プレゼントを持ってやって来たとき
もちろん君はすぐ喜んださ
慇懃にお礼を言い
リボンをほどき、開けゴマ
でもどの星でも、
もっと近くのどの惑星でも
僕にとっては難しいことじゃない
可愛いジョジョだってわかることさ

愛を信じるのなら
それが正しいことのようだけど
そのうち変な臭いがしてきて
トンカチで一発殴られるまでの間だけのこと

だから、空を見上げて全てを素通りさせよう
地獄にも雲とかそういうものはあるのかと
ぼんやり考えながら

<Syco 訳> 

youtu.be

 

大好きだったスウェーデンのバンド「コンクリーツ」の元ボーカルの新しいバント「テイクン・バイ・ツリーズ」の曲です。 でもコンクリーツとスタイルはおんなじ。 

スウェーデンの春は遅そうね。

 🌸 Tell Me / Taken by Trees

雪がここまで来たら教えて
そして遊ぶ時が来たら教えて
だってここで一人ぼっちで立っていたくないもの

誰の手も握らないで
そしてそれはみんなも同じ
誰だって誰かと手を繋がずに立っているべきじゃない

Oh 私は自分のこの目でしか
見ることができないの
ずっとずっと昔にもらった目
ずっとずっと前

そしてあなたは春がそこまできてると言うけれど
そして日の光は私たちにいいっていうけれど
春はちょっと不安になるの
春を飛び越して7月に連れて行ってくれるといいのに

うそつき うそつき うそつき
だって4月の日差しは信用しない
サン サン サン サン サン

Oh 私は自分のこの目でしか
見ることができないの
ずっとずっと昔にもらった目
ずっとずっと前

<Syco 訳>

 youtu.be

 

最後はボサノバ界の名曲中の名曲、「三月の流れ」。奇跡のようなメロディだと思います。 ブラジルは南半球だから、3月は基本秋だけど、気にするな。 

🌸 Waters of March 

棒切れと石ころ
道は行き止まり
一人ぼっち
背中の荷物の重さ

それは硝子の銀色であり
光であり、太陽である
夜であり、死であり
ナイフであり、銃である

咲き乱れる花
草原のきつね
森の中のシギ
ツグミの歌声

生命の神秘
入り口へと下る小道
風の音
そして滝

それは気ままに浮かぶ月であり
山並みの曲線であり
蟻であり、蜂であり、
希望が持てる証である

そして岸辺はうたう
三月の流れを
それは春を約束し
心の中の喜びとなる

槍、釘
杭、鋲
しずくであり、したたりであり
物語の終わりである

朝日に光る
葉の上の露
真っ暗な夜に
撃ち放された銃声

1マイル、欠かせない
ぐいと押す、ぶつかる
生き延びようとする意思であり
揺れであり、跳躍である

家の垣根
水底に横たわる身体
ぬかるみにはまった車
それはぬかるみ、それはぬかるみ

魚、閃光
願い、翼
それは鷹であり、鳩であり、
春への約束である

そして岸辺は歌う
三月の流れを
それは絶望に終わりを告げ
心のうちの喜びである

棒切れ、石ころ
道は行き止まり
切り株
雨蛙、土蛙

ため息 吐息
歩き回る
生命と死
一筋の太陽の光

そして岸辺はうたう
三月の流れを
それは春を約束し
心の中の喜びとなる

<Syco 訳>

いろんな人が英語やポルトガル語でカバーしてるけど、下はデビッド・バーンとマリサ・モンテのバージョンです。↓

youtu.be

 

春のプレイリスト ② 花が咲いて、虫も這い出す春 Buzz Buzz Buzz, Blossam, the Caterpillar,Flowers in the Window

はいっ、またジョナサン・リッチマンです! でもこの曲、オリジナルは50’sのドゥーワップ・ソングだったのねぇ。 今までジョナサンのオリジナルだと思ってた。 ヒューイ・ルイスなんかもカバーしてる有名な曲らしい。 

🌸 Buzz Buzz Buzz by Jonathan Richman and the Modern Lovers 

そうさ、ブンブンブンはミツバチで
ツイッツイッツイッと小鳥は鳴く
でも君の囁く声の方が
今まで聞いた中で一番可愛い

そうだよ、ブンブンブンはミツバチだし
ツイッツイッツイッは小鳥だよ
ブンブンブンとミツバチが飛ぶと
ツイッツイッツイッと小鳥が鳴く

さあクローバーの野原に出よう
メイン州は今草木が芽生える

そしてブンブンブンはミツバチで
ツイッツイッツイッは小鳥
でも君の声の方がもっと可愛い
今まで聴いた中で最高だね

そうさ、外に出るのが大好き 
春は小鳥やハチがいるし 
ハチの歌もいいね
小鳥の歌もいいね
でも君にはかなわない

ブンブンブンとミツバチが飛び
ツイッツイッツイッと小鳥は鳴く
でも君のささやきがね、ダーリン
僕の中では一番なんだ
 
今にも泣きだしそうな顔でうたうジョナサンに萌え~ 💛

youtu.be

 

いつもメランコリックなニック・ドレイクも、春になると少しは明るくなるんだ。

🌸 the Blossom by Nick Drake

暗い冬の日々は全て終わった
木に花が咲き君を運んでくる
雲が晴れて
僕は知っている
君と花に通り道を作ってくれたわけを

季節がまた移りかわる
四月の雨が降ったり止んだり
木が息を吹き返し
ハチが巣から出てきて
君と花に会いに来る.

みんなは太陽と一緒に
笑ったり、微笑んだり
夏が来るのを感じるんだね

日に日に暖かくなり
日も長くなる
春が去って夏になる
本当にいい感じ
サイダーやワインがたくさん
でも君は花と一緒に行くんだね

春が再び来ると僕はまた眺めて
もう一人の花の友達を見つける
新しい何かを
見つけるまで
僕はただ君と花のことを思うんだ
君のことを思うんだ…

 

ニック・ドレイクは3枚しかレコードを出さなかったんだけど、亡くなった後にたくさんデモがリリースされている。 この曲もそのひとつで、クオリティーは低いけど、ニック・ドレイクのファンにとっては、すべてが尊い作品なんです。

youtu.be

 
次の曲は春という文字は出てこないけど、毛虫が蝶々になる歌だもの。 春でしょ。 キュアの曲ではこの曲が一番好き💛
🌸 The Caterpillar by the Cure

チカチカチカチカ チカチカチカチカ
ここにいた
カタカタカタカタ カタカタカタカタ
毛虫少女
僕の空しい心に浸透して
埋めてくれる
あぁ、絶対行かないで
僕のレモン色の嘘に
ピンクの甘い粉を振り掛ける
僕が終るのは
君が変わる日
君が僕から飛び立つ日
チカチカ光って
君は奇麗
僕の頭の中で輝く
催眠を掛けられ
僕は陶酔する
君の輝き
僕に死に至らせるキスの輝き

 

口紅が大胆にはみ出していても許せるのはキュアのロバート・スミスだけ💛

youtu.be

 
最後はトラヴィスのベタなラブソングだけど、メロディが良くって聞くとしばらく頭から離れなくなる。
 
🌸 Flowers in the Window by Travis
僕が最初に君を抱きしめた時は僕は寒かった
雪だるまが解けていくと君は言った
でも前は抱きしめる相手は誰もいなかった
一人ぼっちが永遠に続くと思っていたんだ

Wow 君がいる 
窓辺には花があり
なんて気持ちのいい日
そして君もそう感じているって素敵なこと
だって、大勢の中にいても輝いていて
唯一最高の君
大好きだよ

一緒に花が咲き始めるのを眺めよう
後悔することなどひとつもない
でも楽んだり悲しんだり怒ったりする季節はたくさんある
ただ、たくさんの感情を僕らは持ってしまうだけ
でも僕がその重荷を持ってあげる

Wow 君がいる 
窓辺には花があり
なんて気持ちのいい日
そして君もそう感じているって素敵なこと
だって、大勢の中にいても輝いていて
唯一最高の君
大好きだよ
一緒に花が咲き始めるのを眺めよう

今僕らはここにいて何も心配がない
もう過去からずいぶん離れ、たくさんの時間が経った
新しい種をまき大きくなるのを見守ろう
そしたらいつか僕らの窓辺に花が咲く
 
 
このPVを見ると、春は繁殖が勢いを増す季節なんだなって思います。  曲の印象とはちょっと違ったビデオでした…↓
 
懲りずに続きます。
 

春のプレイリスト① 春の兆し Here Comes the Sun, the Millionaire Waltz, the First Day of Spring

ロックソングは夏や秋の歌はたくさんあるけれど、春のうたってあんまりないんだよね。 ウキウキワクワクしたり、ぼーっとしたりする季節はロック向じゃないのかなぁ。 

でも私は春が季節の中では一番好きかも。 田舎に住んでいるから、冬を越したという達成感を植物や動物と一緒に感じれるのよ。 

 

まず最初は私としては珍しく、王道を行く春の歌「ヒア・カムズ・ザ・サン」。 日が照ってくれれば、すべてが大丈夫って本当だと思うわ。

🌸Here Comes the Sun by the Beatles

太陽が出た
太陽が出てきた だから僕は言う
大丈夫だって

Little Darling 寒くて長い孤独な冬だったね
Little Darling 何年もたったような気がするね
太陽が出た
太陽が出てきた だから僕は言う
大丈夫だって

Little Darling  みんなに笑顔が戻ったね
Little Darling 何年もたったような気がするね
太陽が出た 
太陽が出てきた だから僕は言う
大丈夫だって

サンサンサン 照ってきた
サンサンサン 照ってきた
サンサンサン 照ってきた
サンサンサン 照ってきた


Little Darling 氷がゆっくりと溶けていくのがわかるよ
Little Darling 何年かぶりに土を見たような気がする
太陽が出た
太陽が出てきた だから僕は言う
大丈夫だって

太陽が出た 
太陽が出てきた だから僕は言う
大丈夫だって
もう大丈夫

youtu.be

 

 

次も有名なフレディー・マーキュリーのバラード。 はじめは超ウキウキ気分で春の訪れを感じているのに、中盤はなぜか沈み込む。 ブライアン・メイのワルツギターでクルクル回転して、そしてまた気を取り直して億万長者気分。

起伏の激しい春の歌です。

🌸 the Ⅿillionaire Waltz by Queen

愛の楽隊を運んできておくれ
また春の陽気が溢れてきた
歌のパレードの音に乾杯だ
愛と音楽で溢れている
僕にも少し愛を分けて
僕から少し愛をもらって あなたと分かち合いたい
億万長者の気分さ

かつて僕らは怒ったり笑ったり
いつも手を取り合って時を過ごしていた
覚えているかい、愛しい人
二人で踊ったりふざけたりしていたことを
雨が降る中、寝転んで
これがずっと永遠に続くことを願った。

今の僕は切ない
あなたは遥か遠く
僕は来る日も来る日もじっと待って時を数えるだけ
僕の元に戻ってきておくれ どんなに僕が焦がれているか
僕の元に戻ってきておくれ 以前の幸な僕らに戻ろう
戻ってきて、僕の元に
戻ってきて 戻ってきて あぁ
あぁ 戻ってきて、僕の元に、あぁ、愛しい人
いかにあなたが恋しいか 戻ってきておくれよ


親愛なる友よ 僕の手を取って永遠に愛して
親愛なる友よ 永遠に 永遠に

愛の楽隊を運んできておくれ
また春の陽気が溢れてきた
歌のパレードの音に乾杯だ
愛と音楽で溢れている
僕にも少し愛を分けて
僕から少し愛をもらって あなたと分かち合いたい
億万長者の気分さ

戻ってきて 僕の元に 君は僕を
君は僕を億万長者の気持ちにしてくれるから

 

youtu.be

 

 

最後は心地よいガンダーバスの一曲。 このバンドはこの曲しか知らないんだけど、一発屋なのかしら。 てかこの名曲ですら、ヒットしてないと思う。 90年代にデトロイトのオルタナラジオで時々流れていた。 First Day of Springとは「春分の日」と言う意味です。

🌸First Day Of Spring by Gandharvas

ねぇ、きみ
そこにただじっと座って…
思いを巡らしていないで…
外は気持ちよく晴れていて…
時間だけが過ぎていくよ…
外においでよ…
ガチガチに固まって座ってないで…
僕は素晴らしい音の波を感じている…
暖かい風が一掃してくれる…
空は太陽の光で満ちている…


そしてこれが
いつまで続くか分からない
どうにかして知ろうとしても
分かる術がない
絶対にわからない
いつまで続くかなんてわからない


外においでよ
座ってただ朽ちていくのを待ってないで
夏服に袖を通して
僕が君の相手となるよ 
でもお願い、急いで
だって、これが
いつまで続くかわからないから
どうやったってわからないから
分かる術がないから
絶対に分からないから
いつまで続くかなんて…Yeah
ねぇ、きみ
きみの再出発の時が来たんだよ
再出発の時
再出発の時
出発の時 yeah

  

ビデオはちょっとエグイので閲覧注意です。

youtu.be

まだ続きます...。 春の歌。

3月の映画メモ 「足音はかき消して」「キックス」「赤い影」

書き溜めていたら、いつの間にか4月になってしまいました。 

 

★親がアウトサイダーだったらどうする?と考える映画

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足音はかき消して (Leave No Trace)  デブラ・グラニック監督 <2018>

文明社会の中で生きることができないお父さんが、ティーンエイジャーの娘を道連れにして、森の中を転々としながら暮らす話です。

国立公園の森林の中でテントを張って暮らしていたため、警察に見つかってしまい保護され、仮の住まいを与えられ、娘は屋内の暮らしに馴染み、好きになるんだけど、お父さんのほうは精神的に結構病んでいて、普通の暮らしが難しい。 我慢がマックスになって、お父さんは夜逃げをするように、娘を引き連れ逃げていく。 娘はお父さんをリスペクトしてるし、お父さんも娘を愛しているからこそ、切ないものがある。

このお父さんはPTSDを抱えているから、社会に適応できなくなってしまったんだけど、私も人付き合いは得意じゃないし、一人でも全然平気だし、むしろ一人でいるほうが楽しかったりする。  トラウマがあるわけじゃないけれど、私は人から嫌われるタイプなんだろうな、ということは長く生きてきて、なんとなく分かってきた。 だから、暇さえあれば、山の隠れ家にひっそり籠っている。 自然の中にいると、一人でも全然寂しくないんだよね。 人混みの中にひとりいるほうが、人って寂しさを感じると思う。 

ただこの映画のお父さん、子供を巻き込んじゃいけないね。 私だって、人付き合いは苦手だけど、子供が小さい時は頑張ってママ友を作ったよ。 アメリカは親の送り迎えが無きゃ、子供は遊びにもいけないしね。 

たぶん、この映画を観た人のほとんどが、娘の方の将来を懸念しちゃうんじゃないかと思うけど、わたしはやっぱりこの森から出れないお父さんのほうに感情移入してしまいました。

 

★どうにかしなきゃならない問題てんこ盛りなアメリカのゲットー映画

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キックス (Kicks)  ジャスティン・ティッピング監督 <2018>

シングルマザーの家庭で育つ15歳のブランドンは学校で流行りのバスケ・シューズ「エア・ジョーダン」が欲しくてたまらない。

親が買ってくれるわけもないから、自分で路上でお菓子とか売ってお金をため、そしてまた、路上で靴を売るいかがわしい商人から、200ドルの「エア・ジョーダン」を150ドルで手に入れた…その当日に、通りにたむろすギャング集団に襲われ、奪い取られてしまう。

ブランドンの靴を取り返すための奮闘を描いた映画で、中坊の青春のひとコマ爽やかに描くのかな、なんて思いきや、どんどん過激になっていくの! 

たかが靴ごときで、銃撃やらカーチェイスやら、西海岸のゲットーってこんなに怖いところなの?? それもみんな16,7の子供だよ。 

時給8ドルしかもらっていないところで、ティーンエイジャーに向けて200ドルの靴が売られているのが間違っている。 貧富の差がバイオレンスを生んでいる。 ティーンエイジャーはモテたいか人気者になりたいが全てだし。

私の家の周辺も貧しい黒人やメキシコ人が住んでいるトレイラーパークとかあるけれど、何も危険は感じられない。 それはきっと、ロサンジェルスやニューヨークのように、大金持ちと隣り合わせじゃないからだと思う。 ここ南部は平均してみんな貧しから、ブランド物とか誰も持っていないもの。

都市部のゲットーの子供たちはこんな風に大人になっていくのね、ってのがよく分かったけど、なんか物欲、性欲、ドラッグ欲への誘いがあまりにも多すぎて、そしてそこら中に銃が溢れていて、本当にアメリカはどうにかしなきゃいけないよ。 

 

★一番好きなベニス映画

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赤い影 (Don't Look Now) ニコラス・ローグ監督 <1973>

70年代のニコラス・ローグによるホラー映画です。 名作と言われています!

これを見るのは3回目で、何度見ても私の疑問の答えは見つかんない。 たぶん答えなんて無いんだと思う。 でも今回また見てしまったのは、ベニスがまた見たくなったから。 

ベニスが舞台の映画はたくさんあるけど、この映画ほどベニスを魅力的に撮った作品はないと思う。 まず冬のベニスで観光客が全くいないのがいい。 時折、窓から人が顔をのぞかせるぐらいで、閑散としたベニス。 いるのは鳩だけ。  水路が寒そうで古くてひなびた感がマックス。 そのちょっ気味の悪いベニスで主人公のドナルド・サザーランドが死んだはずの自分の娘の影を追いかけて、狭い路地を通ったり水路にかかる橋を渡ったたり、アーチを潜り抜けたりして彷徨う。

私が行ったのは3月のベニスで、すでに環境客であふれていた。 いつ行けば、こんなベニスが見れるのだろうね。 

見れなくでも、またこの映画を観ればいいかな。 謎もまだ解決してないし…。

私の中で未解決な謎を挙げておく。

  • 連続殺人犯は誰なのか
  • なぜ時空が捻じれたのか
  • はじめの方でなぜ老姉妹が気味悪く大爆笑をしていたのか
  • 二つのホテルのタンスの上に飾られている写真の意味は何か  

ネットで検索してみても答えがみつからないよ。

 

ランキン・ロジャーが逝っちゃった…

3月26日にランキン・ロジャーが亡くなった。 彼は私が大好きな2トーンレーベルの、私が大好きなザ・ビートの、私が大好きなトースター。 肺がんと脳の腫瘍を二つも抱えて、まだ56歳った。 

70年代終わりにパンク、ポストパンクが好きだったら、2トーンのバンドのスカビートに嵌るのは当然の流れで、私もどっぷり嵌ったわ。

陰鬱なスペシャルズ、コミカルなマッドネス、パワフルなセレクター、そして、ザ・ビートはイギリス生まれのスカの中でも、カリプソ色が強かった。 若いランキン・ロジャーのトースティングがバンドを明るくしていた。 亡くなってから知ったけど彼がザ・ビートに加わったときはまだ16歳だったのね。 今、youtubeで昔のライブを観ると、あどけないベビーフェイスで可愛い過ぎる! 

ザ・ビートが生まれたイギリスの工業都市バーミンガムは私は少しの間住んだことがある。 イギリスの中でもジャマイカ移民が多い街で、レゲエのレコードショップがたくさんあったのを覚えている。 道路の端でレゲエのレコードやカセットテープを並べて売っているラスタマンもいた。 2トーンレコードの発祥地はそこから少し離れたコベントリーという町で、バーミンガムはブリティッシュ・レゲエのメッカだ。

ランキン・ロジャーは西インド諸島からの移民の息子でセックスピストルズやクラッシュに嵌ってザ・ビートに加わる前はパンクバンドでドラマーをやっていたという。 ちょっと想像がつかないんだけど、70年代後半のイギリスで、労働者階級で家が貧しかったら黒人であろうと、パンクにはけ口を見つけるんだ。 サッチャー政権に怒りを感じるの人種よりも階級だ。 そんな流れで、スカパンクが生まれたんだと思う。 

白人と黒人が入り混じった2トーンのバンドは、カッコ良かった。 もともとはスキンヘッズて、パンクのスタイルではなくて、西インド諸島からの移民の黒人の坊主刈りの通称だった。 細身のスーツと細いネクタイ。 スカンキングという歩き回るようなダンス。 日本にもマッドネスがホンダホンダホンダホンダのコマーシャルで流行らせて、小学生まで真似してたんだから、凄いブームだったんだね(覚えている人いるかな、ザ・昭和)。

ザ・ビートは後にアメリカの同名のバンドと区別するために「イングリッシュ・ビート」と改名したけど、実は私はこのところ3年続けてこのバンドをノースキャロライナで観ている。 しかし、私が観ている「イングリッシュ・ビート」はデイブ・ウェイクリングのソロバンドのようなもので、オリジナルメンバーは彼しかいない。 デイブは今、アメリカに住んでいるから、頻繁にツアーをして、こんな田舎にまで来てくれる。 そして、ザ・ビートとジェネラル・パブリックの曲をたくさん歌ってくれてとてもありがたいんだけど、ランキン・フルストップはやっぱりランキン・ロジャーでないと、って思ったわ。

そしてランキン・ロジャーの方も、イギリスでザ・ビートを続けて、レコードも出したりしてた複雑なバンドとなった。 無くなるすこし前に、新しいレコードも出したことやUSツアーも予定している、と言うことをインタビューで話していた。 ステージでは前のように走り回れないけど、でも歌を歌うのは問題ないし、スカンキングだってできるって言っていた。 もう2年ぐらい免疫療法を頑張ってみるって言っていた。 見たからには元気そうだった。 そんな矢先に無くなるなんて…、悲しすぎる…。

 

下のビデオは80年代にバンドエイドに対抗?して、2トーンのバンドやUB40などのブリティッシュ・レゲエバンドが団結して、アフリカの食糧危機のためのチャリティ・レコードを出したときのもの。 私はこれが出たとき即12インチシングルを買いました。

この中で黒に金色を入れた髪をしてトースティングをしているのがランキン・ロジャーです💛 R.I.P.

www.youtube.com

 

 

サザンカルチャー・オン・ザ・スキッズを見に行ったよ

先週の月曜日はティーンエイジ・ファンクラブを見て、そして金曜日には地元が誇るレッドネック・バンド、サザンカルチャー・オン・ザ・スキッズ(以下SCOTS)のライブにも行ったよ。 

一週間にライブが2回とはなんて贅沢なんでしょう! でもアメリカはライブはさほど高くないのよ。 ティーンエイジ・ファンクラブは25ドル、SCOTSは15ドルだもの。 SCOTSは入場無料の地元のお祭り会場でも見たことがある。 今回で見るのは4回目で、彼らのステージはいつも全然変わらない。

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観客(これがみんな中年太りのおばちゃん)をステージに上げて踊らせたり、鶏のから揚げを投げたり、謎の覆面レスラー「サント」を登場させて、”ビバ!サント”を連呼させたり。 これは彼らの定番のオフザケで、観客は喜び、会場は盛り上がる。 

曲名も「ママはゴーゴーガールでパパは宣教師」とか「ノースキャロライナの鶏糞農家」とか、こんなくだらないことやっているのに、SCOTSは演奏が上手過ぎる。 ベースのスキルはよくわからないけど、デイブのギターとリックのドラムは戦慄が走るほど上手い。 このギャップがSCOTSの魅力なのね。 

最初はガレージバンドから始まって、アリーナバンドに成長する音楽人生も有りだけど、SCOTSは一生ガレージバンドを貫くつもりだと思う。 ガレージ・ロックが大好きなのよ。 

スタジアムのチケットはバカみたいに高いし、ステージは遥か彼方だし、フェスでもない限り私は行かない。 SCOTSのようなバンドが居るおかげて、小さなライブハウスで優れたロックンロールを聴けて、おばちゃん、本当に嬉しいわ。