大人気のブロードウェイミュージカル、「ハミルトン」を観れたこと

歌と踊りは大好きだから、私はきっとブロードウェイミュージカルは好きなんだろうけど、あまり観たことがない。 何百ドルも払ってまで行こうとは思わない。  最低の席でも100ドル近くするし、前列なんて300ドルぐらいもする。 チケット高過ぎよ! いったい誰がチケットを買うの? こんぐらいお金を出しても行きたいというミュージカルマニアがそんなにたくさんいるとは思えないんだけど。

今回、友達が招待してくれたので、私も「ハミルトン」のノースキャロライナ公演を観ることができた。 そしてわかった。 会場を満員にする客の大半が、高齢できちっとした身なりのコンサバな白人の富裕層であることが。 彼らはこのミュージカルが観たくて観たくて堪んなかった、っていうんじゃない。 お金と暇があるし、多分シーズンチケットを買ってあるから観に行くのだ。

とは言え、噂に聞いた通り、ハミルトンはかなりリベラルで挑発的なミュージカルだった。 アメリカの独立戦争、建国という波乱のの時期をアメリカ合衆国の建国の父と言われる人たちのひとり、アレキサンダー・ハミルトンを中心に描いているんだけど、もちろん建国の父(the founding fathers)はすべて生粋の白人なはず。 でもそれを全く無視したキャスティングで、ハミルトンはラテン系、ワシントン大統領はアジア系、ジョン・アダムスもトーマス・ジェファーソンも黒人で、白人が演じたメインキャストはイギリスの国王ジョージ三世ぐらいでした。 

そして楽曲は半分以上がラップです。アレキサンダー・ハミルトンとトーマスジェファーソンがラップバトルをするのよ。  日本で言ったら、明治維新をミュージカルにして福沢諭吉や伊藤博文が憲法の法案を巡ってでラップバトルするって感じですか? 

私はめっちゃ面白かったけど、こんな過激な「ハミルトン」を観て、放送禁止用語F***も入ってましたし、アメリカ南部のコンサバ・ジジババ軍団はどう思われになったのでしょうか。 建国当時にイギリスから来た自分らの祖先だけをアメリカ人とみなし、それ以降にやってきたユダヤ系、中東系、アジア系、ラテン系をみんな移民とみなして差別する人たちも多い南部なのですよ。 その建国当時の白人のヒーローをみーんな非白人に変えられてしまった気分はどうなのか…。

そして、キャストのみなさんも、コンサバ・ジジババ軍3千人を前にして、思いっきり舞台を頑張れたのでしょうか…、などと思ってしまいました。 

考えてみれば、この招待券は、私の山の隠れ家を友達の息子さんにタダ同然で貸してあげたから、そのお礼にと、頂いたのである。 私としては、住み家を田舎の古くて小さいボロ屋に買い替えて、その残りを頭金にしてやっと手にした山のちっちゃなコテージだけど、他人から見れば別荘持って人に貸しているわけだから、私も十分に高齢のコンサバ軍団のひとりなのかも。 

 

ライブハウスに行って大好きなインディーバンドを観れば、若者に交じるアジアのおばちゃんであることを意識してしまうし、ブロードウェイ・ミュージカルを観に行けば、コンサバ白人富裕層の中で居心地の悪さを感じる。

私の居場所っていったいどこなのかしら...。

 

<おまけ写真> 近所の農家は馬飼ってます。 秋も深まり奇麗なのでパチリ。

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