2月の映画メモ 「デトロイト」、「Wah Do Dem」、「万引き家族」

★手に汗握る映画

デトロイト (2017)

凄かった、これ! 

これは1年以上前の映画なんだけど、なんでこんな凄い映画を見逃していたんだろう。「ハート・ロッカー」でアカデミー監督賞を受賞したキャサリン・ビグローの作品だし、おまけに私が15年も住んでいたデトロイトが舞台の映画絶対に目に留まるはずなのに…。

見逃したのは、そんなにアメリカで話題になってなかったからだと思うんだけど、それも不思議だ。 テーマは白人警官による黒人一般市民の射殺事件で、この映画が元になっている事件は1967年なんだけど、こういう事件は今のアメリカでも頻繁に起きている。 なんか私の感覚からいって、月一ぐらいでニュースで流れる。 そして驚くことに、2019年の今でさえ、無装備の黒人を拳銃で撃って殺した警官が無罪になったりしてる。 こんな深刻なテーマなのにどうして話題にもならなかったんだろう?

映画の完成度もかなり高かった。 迫真の演技で、緊迫したシーンが延々と続き、もう見てられないと感じさせるぐらいまで張りつめていき、それでも終わってくれないの。 ゴムをどんどん引っ張って行って、いつ切れるかハラハラするあの感じね。 見終わって、どぉーっと疲れた。

なんか日本のポスターではアカデミー賞最有力とか書かれていたけど、かすりもしなかったってどういうこと? なんか政治的圧力でもあったのかしら? うーん、謎。 

この年のアカデミーって「シェイプ・オブ・ウォーター」なんていう半魚人と人間の純恋愛モノが取っていったんだよね。 そして、ハリウッド界においては、人種差別よりもセクシャルハラスメントの「ミー・トゥー運動」が注目されてたんだよね。 本当にアカデミー賞ってわからんわ。  

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★私のジャマイカ学習の映画

Wah Do Dem (2010)

実は今年の目標は夏にジャマイカに行くこと。 でもさ、一人でジャマイカに行くのは結構ハードルが高いんだよね。 なぜかというと、私はビーチリゾートはスルーして、レゲエのメッカ、キングストンに行きたいから。 それとブルーマウンテンもハイキングしたいね。 でもキングストンはすっげぇ危ないっていう人がたくさんいるんだよね。 それで、下調べのためにジャマイカ関係の映画を観ることにした。 

その一つがこれだったんだけど、あーぁ、お決まりのごとく、主人公の白人男子がジャマイカ到着一日目で身ぐるみ剥がされてる。 でもマリファナタバコをくれた知らない奴に荷物を見てもらって、海でひと泳ぎして戻ると跡形もないって…当たり前だろ、 こいつアホだ。 そこで、リゾートビーチから、一文無し、海パン、裸足のままで、山を越えキングストンのアメリカ大使館まで行こうっていう展開。 

でもさ、何にもないっていうのは、自由なんだよね。 ナイフで脅されても、「俺が何か持っていると思うなら、何でも取って行けよ、ほんとに、何もないから」 ってビクともしないの。 あぁ、こういうのもありか、って思った。

この主人公がバカだったので、この映画でジャマイカの危険度の結論は出なかった。 でもブルーマウンテンのきれいな風景がますます私のジャマイカ熱を上げるのよ。

日本未公開だけど、ノラ・ジョーンズやMGMTがカメオ出演をしてるので、音楽ファンは だけどチェックしてみてもいいかも。 主人公の俳優も私は知らなかったけど、ミュージシャンらしい。

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★たまに見るといいね、日本映画

万引き家族 (2018)

アメリカのネットフリックスやアマゾンプライムで観れる日本の映画は、アニメかホラーぐらいしかない。 でもさすがにこの映画カンヌのグランプリを取っちゃったから、アメリカでも紹介されるわな。 英題はシンプルに「shoplifters」です。

私が愛する負け組の物語で、この家族の一人一人すべてを愛してしまったわ。 愛情と、そして経済的な理由で繋がっているようなんだけど、けっこうそれぞれが独立している。 べったりじゃないところが良い。

私も血の繋がりとか淡泊な方だと思うけど、だからと言って赤の他人と繋がれるかと言うと、それも違う。 要するに一人が一番いいの。 家で一人でいるのが一番好き。 だから、この映画のように、狭い家で肩が触れそうな距離に人がいるのを見ているとちょっと息が詰まりそうになった。 

私は愛情はペットで十分だから、あとは経済的に自由が欲しいわね。

 

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