コロナ禍で日本に行って娘に仕返しされた話

コロナ禍で日本に行ってきた。

冬休みが一ヶ月以上もある中、とってもにアメリカには居られないって思ったから。 みんな自粛してんだぞ、我慢しろって思われても仕方ないけど、実家の母も会いたいと言ってくれたし、鬱々とした気持ちで一人でこの時期を過ごすのはやり切れなかったから。

出発の二日前にアメリカでPCR検査を受けた。 アメリカでは希望すれば誰でも検査が受けられ保険も適用される。 簡単に薬局で検査が出来て、私は陰性と判明した。 それでも、羽田に着いたらPCR検査を受けなきゃいけないし、陰性でも2週間は公共の交通機関は使ってはいけない。 なので、弟に新潟から羽田まで車で迎えに来てもらうことにした。 面倒臭がられるかと思ったら、めったにこういう機会はないといって、喜んで迎えに来てくれた。 

外国人観光客を規制しているせいで、飛行機はガラガラ。 のびのーび出来てよく寝れたのはいいんだけど、なんだかコロナを利用していい思いをしているうしろめたさが残る。

空港に着いてからのコロナ検査は唾液検査だった。 梅干しとレモンの写真の前で唾液を出す。 私はレモンを凝視して唾液を出した。 結果を待つまで30分ほど。 私はアメリカで検査済みだし、空港や飛行機の中でコロナをもらったとしても、すぐに陽性反応がでるのは50%ぐらいらしいから、検査の結果はあまり心配しなかった。 やっぱり羽田でも陰性だった。

今アメリカでは50人に1人の割合でコロナにかかっている人がいる。 私の便の搭乗者は80人と言っていたから、この中で1人くらいはコロナ罹患者がいるかもしれない。 でもアメリカではマスクもしないで集まる人も多いし、日本に帰国しようと思っている人は、日ごろから気をつけているに違いない。 だから、50人に1人という統計は、この機内では適用しないと思う。 おまけに機内で私の横にも前後にも人は座ってなかったし、うつされてないよ、大丈夫だよ、きっと大丈夫さ。

私は生まれつき楽観主義だ。 50人に1人がコロナにかかっていると言われていても、自分がその一人になるとは想像できない。 たとえ2人に1人だとしても、私はその一人ではないような気がするんだよね。 楽観主義は自分の長所だと思っている。 そのおかげて、いままでやりたいことが出来たんだし、失敗した経験も何らかの形で自分のためになったしね。

しかし、めんどーな奴が一人いる。 それは私の娘ちゃんだ。 娘ちゃんは3月から、私と完璧にソーシャルディスタンスを取っていて、私の家にも入らない。 会う時はいつも屋外だ。 私が日本に行くと決めた時、ばーちゃんにうつしたらどうする? ヘビースモーカーで高血圧のおじちゃん(私の弟)にうつしたらどうする? きっと死ぬよ、と正論掲げてガンガン攻めて来た。

でも私は今年の3月から10か月の間に、数えると3回しか友達と会っていない。 仕事はリモートだし、外出はスーパーの買い出しだけ。 そんな私が母や弟のコロナにかかるリスクを上げるとは思えない。

私が日本に行く限り、たとえ0.01%でも、0.001%でも家族にうつす可能性は存在する。 私が日本に行かなければ、私が実家の家族にうつす確率は0%だ。しかし、私がうつす確率は0%であっても、実家の家族がコロナにかかる確率は0%にはならない。 弟は毎日仕事に出てるし、母は親戚や友達に会ったりしているから。

つまり、日本に行かない理由があるとしたら、家族にコロナをうつす人が、自分ではありたくない、ということだ。 それって、ただの責任を回避したいだけじゃないの?

といっても、娘ちゃんには通じなかったわ。 あとから姉に聞いたことだが、娘ちゃんは直接私の母や弟に電話して、私の日本行を止めるよう説得してと懇願してたらしい。

無事何事もなく日本から帰って来た私は、娘ちゃんに空港まで迎えに来てよ、と頼んだ。 OKしてくれたのはいいけれど、私に後部席に乗れと言い、真冬の夜の高速を、サンルーフ全開、サイドの4つの窓を半開してて突っ走った。 ゴォゴォと私の顔面に冷風が吹きつける。 「さむい~」「やめて~」「閉めて~」と私がいくら叫んでも、「ごめんね、でも換気が重要だから閉めることは出来ません」と淡々と言い放ち、家までの45分間、私を拷問にさらして仕返しする娘ちゃんでした。 死ぬかと思った。 

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雪国 新潟