レゲエ・ブリタニア②

レゲエやダブは英国を通して知った。 そしてスカも!!

私は初めは、ジャマイカのレゲエをイギリスのパンクバンドがテンポを速くして演奏したのがスカだと思ってた。 スペシャルズやマッドネスがスカを発明したと思ってた。 ジャマイカ人に怒られるね。 本当はジェリー・ダマーズが創立した2トーンレーベルを中心としたスカのリバイバルだったんだね。 

白人と黒人が入れ混じって、エネルギッシュで軽快なスカで暴れまくる。 人種を越えてバンドを組み、やっているのはジャマイカの音楽。しかし、歌詞はサッチャー政権で抑圧される英国の暗い現実を日常を歌う。 これがイギリスのワーキングクラスや移民の子供たちに受けてブームとなった。

うーん、白人でも黒人でも、イギリス人でもない私には全く関係ない世界だな。 でもパンクでは消化しきれなかった怒りが吹き飛ぶようなノリがあった。 2トーンは何が凄いって、ステージのあっけらかんとした明るさと、歌っている内容の暗さとのギャップだ。

そのギャップの大きさはどんなかって? 

例えば、セレクターの「殺せ」とか、、、

youtu.be

Murder / the Selecter (1980)

殺せ、殺せ
人を殺せと言う
人を殺せと言う
それが奴らが私たちにさせたいことだ

お願いだから、彼女を殺さないで
お願いだから、彼女を殺さないで
お願いだから、彼女を殺さないで
それが奴らが私たちにさせたいことだけど

もし背中に翼が生えるなら
私は飛んで行きたい
朝の小鳥と一緒に飛び立つ
どこか誰も知らないところへ

殺せ、殺せ
人を殺せと言う
人を殺せと言う
それが奴らが私たちにさせたいことだ

お願いだから、彼女を殺さないで
お願いだから、彼女を殺さないで
お願いだから、彼女を殺さないで
それが奴らが私たちにさせたいことだけど

<syco訳>


スペシャルズの「若いうちにやり過ぎた」とか、、、

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Too Much Too Young / the Specials  (1979)

オマエはやり過ぎた
やるには若過ぎた
今では家庭を抱えてガキもいる
俺と一緒に遊ぶことができたっていうのに

あぁ、もうガキはいらない

オマエはやり過ぎた
やるには若過ぎた
今では家庭を抱えてガキもいる
俺と一緒に遊ぶことができたっていうのに

いらない、いらない。
これ以上ガキは欲しくない

ガキは可愛いだろ?
いや違う
生活保護で暮らす中での
もう一つのお荷物なだけ

オマエはやり過ぎた
やるには若過ぎた
今では家庭を抱えてガキもいる
俺と一緒に遊ぶことができたっていうのに

いらない、いらない、
もうガキはいらない

浅はかとか
カッコつけてるとかいわれても構わない
君のバラの園に肥しを撒きたい
金持ちにならなくたっていい
有名にならなくったっていい
でも君に僕と同じ姓になってほしいんだ
(オマエはバカか)

オマエはやり過ぎた
やるには若過ぎた
今では家庭を抱えてガキもいる
俺と一緒に遊ぶことができたっていうのに

避妊をすれよ、ガキはいらない

オマエはやり過ぎた
やるには若過ぎた
今ではお前は煮物の番をし
お茶のためのブドウパンを焼いている

ああ、もうガキはいらない

100万人が飢えている話を聞いたことがないかい?
避妊法ってのを聞いたことないかい?
不妊手術をしようと思はないかい?
人口が増えるのを抑えたいと思はないかい
オマエのリビングでだよ
親の世代とは違うんだから
ゴムをつけろ!

<syco訳>

 

あのマッドネスでさえも、愉快に「心肺停止」を歌ってる。

youtu.be

 

Cardiac Arrest / the Madness (1981)

新聞を小脇に抱え
山高帽をかぶり
バス停に立つ
もっと寝ていたかったと思いながらも
通勤ラッシュの中
ご近所と一緒にバスを待つ
始発に乗らねば
仕事が山積みだ
急がなくては
空席を見つけたら
逃すことはできない
必ず座りたい

あと10分で到着だ
クロスワードパズルもだいたい埋まった
最近はパズルも難しくなって
あまり楽しく無くなった
職場のことを考え始める
自分の電話、机、椅子
会社には満足してきた
待遇も良かったと思う
7文字のマス目
Cで始まってCで終わり
アメリカの大型車に似てるけど
DとA以外は違う
渋滞に嵌らないとといいが
バスはゆっくりだ
あやしくなってきた、遅刻するかも
困ったな、部長は何と言うだろうか
落ち着け 
取り乱すな

心配するな
急ぐこともないさ
天気は良いし
何とかなるさ
医者の忠告通り、
人生を楽しめ
みんなの言うことを聞け
これは奴らのゲームじゃない


この速度じゃ間に合わない
渋滞に嵌ってしまった
朝に会議があるのに
チクショーなんて運が悪いんだ!
ポケットに手を突っ込み
ハンカチを捜す
真珠のような汗が襟元まで流れる
鼓動が早くなり
目は腕時計を凝視する
一秒が実に長く感じられ
苦しげに熱い息を吐く
でも心臓の痛みは治まらない
助けを求めて声を出したいが
一言も言葉が出てこない
必死で出すかすれ声は
誰も聞こえていないようだ
残された妻や子供はどうなるのか
家族は自分に頼っていると言うのに!

本当に気の毒だ
焦るなって言っただろう
でももう手遅れだ
その日が来てしまったんだ
ちゃんと説明したと思ったんだが
心の内の恐怖をすべて声に出した
あとは君次第だ
もう僕らにできることは何もない

<syco訳>

 

私が初めてイギリスにに行ったのがこの2トーンブームが終わりかけた1982年の夏だった。 大阪から来たクラッシュファンの女の子と友だちになって、一緒にクラッシュのコンサートに行った。 前座がマイキー・ドレッドだった。 私たちはステージの真ん前に陣取ってクラッシュを待った。 そこはあの「ブリクストンの銃」で有名なロンドンのブリクストンのライブ・ホールで、日本でしかライブを体験をしたことが無かった私たちは、まだステージに突進してぶつかり合いスラムダンスをするパンクスたちの存在を知らなかった。

クラッシュがステージに登場したとたん、後ろから波のように押し寄せるパンクスたち。 勢いつけて体をぶつけ合うパンクスに揉まれに揉まれ、私は身長が170センチあるので、かろうじて息は出来たけど、友だちは155センチしかないので、波に完全に沈んでた。 これはヤバいと思い、スラムダンスの塊から抜けようと、私は友だちを抱えて、押し寄せる波に逆行して、進もうとするのだけど、全く進めない。 30分以上かかって塊の外に出た時は友だちはもうフラフラで、会場の隅でうずくまってしまった。 会場のスタッフの人が来て、大丈夫か、ドラッグをやったのか、などと聞かれ、控室に連れていかれた。 結局ホストファミリーに電話をして車で迎えに来てもらって帰ったのだけれど、その友だちは、ジョー・ストラマーが自分をステージの上に救い出してくれると信じてたって。 うーん、私以上に妄想少女だわ。 美穂ちゃん、今は何してる?

クラッシュのコンサートは、残念ながら、ジョー・ストラマーがモヒカンにして、ステージに出てきたところで終わってしまった。 でもマイキー・ドレッドはカッコよかったな。

 

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